見えてる王子と真実の愛
どうかしてる人ばっかです!
よろしくお願いします!(´∀`*)
「マリアベル!貴様との婚約を破棄する!」
とある夜会、王太子殿下は偉大なる公爵令嬢イコール私に叫びました!
「な、なぜですの!私にどんな瑕疵がっ」
「貴様の悪行到底許せるものではないからだ!!」
殿下は「いやーん公爵令嬢がにらんでますう〜こわいですう〜」とのたまうピンクヘッド娘をへばりつかせています!
くっ…!!
これは浮気野郎どもがいじめられただなんだと難癖つけて断罪してくるやつですわ!!
「私がなんの悪事を働いたというのです!」
「領民の若い娘を攫って血液を絞り血液風呂につかっておっただろうが!」
「それの何がいけないというのです!!」
浮気ものの殿下に立ち向かうべく美容をがんばっただけですわ!!
イケメン殿下に近付く女は多うございました!
一時はぞろぞろ引き連れて歩くハーレムと呼ばれてましたの。すべて潰した!私は私の愛を守っただけ!!
ざわつくオーディエンス。くっ、未だ趨勢決まらず。私の道理がわからぬとは!
たたみかけましてよ!!
「そもそも殿下が浮気されるのが悪いのですわ!
そんなピンク頭をくっつけて!!」
それはそうだのオーディエンス。よっしゃ!
しかし…
「えっお前見えるのかこれが」
「え?」
ぽかんとした殿下がピンクヘッドを指差します。
「一体何を…」
「幽霊だろこれ」
?????
幽霊?
生きてますよねそれ?
オーディエンスもハテナです。
殿下の側近のひとりがおそるおそる進言します。
「いえ殿下、彼女はフワーリ•ピンクヘッド男爵令嬢。ご存命です」
「えっ……」
呆然とする殿下ににっこり笑ったピンクヘッドが抱きつきます。
「……………」
「……………」
しばしの沈黙のあと…
「うわ生きてんのかこれ!!!」
殿下がピンクヘッドを跳ね除けました!
「うわーー!!うっわきも!!生きてんのかこれびびったーーー!!こっわ!!うーーーわびっくりした!!!」
抱きつかれていた腕をハンカチでこすりながら殿下が慌てています。
「あの殿下、これは一体…」
「うむ、ここに至っては仕方ない。正直に話そう。
実は私は幽霊が見えるのだ。それもはっきり。
頭に斧でもささっていれば死んでるなーとわかるのだが、生者と変わらない姿のものもいる。
よって私には生者と死者の区別がつかんのだ。
ゆえにとても王として務まらんと、君に難癖つけて婚約破棄し廃嫡され弟に君と王位を譲ろうと思ってな」
「まあ!!」
では浮気女どもを引き連れていたのは…
「浮遊霊が集まっていると思っていた。除霊とかはできんのでな。
というか君という婚約者もいるのに妙な女を近づけるなど側近や護衛が許すはずもないので素通りしてくるあれらを幽霊だと思っていたのだが。
単に側近どもが能無しだっただけとは驚いた。お前らクビだ」
殿下がそばに控える側近と護衛に言いつけます。
そんなあ!いやだってすげー女好きかと…などとあわてる彼ら。
「歩くハーレムと呼ばれておられましたがそれは…」
「側近の男どもをひきつれているからな。腐女子の妄言かと」
「まあ!!」
さすが殿下。市井の流行にもお詳しい…
私は胸が熱くなりました。
この方は浮気クソ野郎ではなかった…私の愛したそのままの方でした…!!
そこへ弟の第二王子殿下があわてて走り出てきます。
「兄上!私ではこの国の国王はつとまりません!
マリアベル様も兄上の隣こそ相応しい!!
私は隣国の王女と幼少より思い合い婚約しております!予定通りいやもっと早めてあちらへ婿入りしますので何卒!何卒!」
「しかし…お前もよくマリアベルをじっと見つめていただろう。愛があったのでは…」
「それは怖くて目が離せ…いえ素敵な義姉上で兄上はお幸せだなあとほのぼの拝見していたまで!
私は隣国王女を慕っております!!何が何でも隣国へ逃げいえ嫁ぎます!!」
「そうだったのか…!!しかし私は…!」
辛そうなお顔の殿下。特異体質ゆえ、その大きなお立場ゆえ、どれほど悩まれたことでしょう。おいたわしい…!!
私すっと息を呑み殿下に向き合います。
「殿下…!!殿下のお心、国を思う深慮感服いたしました!
けれどやはり、殿下より他に冠を戴くに相応しい方はおりません!
殿下が生者と死者の区別がつかないとおっしゃるなら、私が常に隣でそれをお知らせいたしましょう!
どうか私に、殿下を支えることをお許し下さい…!」
「マリアベル…!!」
顔を赤らめた殿下にそっと手をとられます。ぽっ♡
「ありがとう、こんな私でよければ…ずっとそばにいておくれ」
「殿下が、よいのですわ…!」
ラブ!!
しかし見つめ合う私たちに首になった元側近たちが無粋にも叫びます。
「ま、マリアベル様は先ほど仰った通り領民を惨殺する悪逆非道な方ではないですか!
ハーレムガールたちもことごとく家をつぶされ売り飛ばされ殺されております!
こんな方国母に相応しいはずがない!!」
物理で首にしてやろうか!!
いらっときましたが殿下そっと私の頬を撫で、転じて冷たい目で側近を睨みます。
「婚約者がいると知って近寄るうつけたちを排除して何が悪い。正当な権利を守っただけであろう。
領民に関してもだ。領民は領主の財産。その娘たるマリアベルが家財を消費して何が悪いというのだ」
「そ、そんな!」
まだ首でないものどもは愕然としますがオーディエンスはなるほどたしかにの大合唱。さすがもののわかったプロ貴族ですわ。
第二王子がそういうとこそういうとこだよ逃げる俺だけでも逃げるぞ臣民すまん俺には無理とぶつぶつ言ってます。
「しかしマリアベル、領民は家財ではあるがあまり使い潰せば生産性がへるだろう。結果損するのは君なのだから少し控えるように。
君はその……そのように美容に手をかけずとも…もちろん私のためにというその心はうれしいのだが……常にその…君は……………………美しいのだから……」
殿下は真っ赤になりながらつぶやきます。
やはり真っ赤になる私をそっと殿下の腕が包みます♡
オーディエンスもやんややんやの大合唱!
いたんかい国王夫妻もぱちぱち拍手。
ぶつぶつ言ってる第二王子。
私は殿下の暖かな腕の中、幸せに身を委ねたのです……♡
ラブ!!!
さてそれから——……
殿下…いえ陛下は無事王位につき、幽霊からの情報をもとに臣民や他国の秘密をガッチリ握り安定した統治を行いました。
私も陰ながら陛下を支え、子宝にも恵まれ国母として寄り添いました。
しかしある時なんかわからんこの国から逃げ延びた貧民イコール勇者とか名乗るものが他国の連合軍をひきつれ襲いかかってきたのです。
たかが木っ葉と思いきや卑劣にも神の力などを得た勇者に我々は敗れ、命をおとすこととなりました。
そして現在——…またたくまに地獄を統べ、玉座をかちとった我が夫と共に地の底より這い出し、再びこの世の栄華を正しく我が手に取り戻そうとしている訳ですが——……
隣を向けばいつだって、温かな瞳で微笑む彼がいます。
生死を超え常に寄り添いあう私たち。
これぞ真実の愛と言えるのではないかしら———……?
ラブ!!!
♡おしまい♡
お読み頂きありがとうございました!!(´∀`*)
かいててなんて迷惑な人たちだと思いました!




