第4章:エリカの正体と最終改稿
佐藤優希(18歳、高校3年生)は、部屋のベッドに突っ伏していた。ノートPCの画面には、改稿した『異世界転生したら最強ハーレム無双!』、いや、タイトル変わった。『聖女エリカの無双冒険譚』。ヒロインのエリカに、渋谷のギャルの恋バナ、幼少期のトラウマ、コスプレイベントのビジュアルを全部ぶち込んだ。エリカがヒーローに「君の笑顔、守りたい」と言うシーン、めっちゃ泣ける。絶対泣ける! なのに、優希の心はザワザワ。
山下哲史の言葉が頭をループ。「物語の核心、キミの魂の全て、出し切れ。新人賞の最終選考、1週間後だ」
1週間!? ライバルの神崎龍馬の『魔王転生クロニクル』は、編集部で「最有力」って騒がれてる。7人の個性的なヒロイン、ダークヒーローの魅力、完璧な構成。優希のエリカ、ほんとに勝てる? いや、勝つとかじゃない。山下さんが言った。「読者を、俺を、ぶち抜け」。それが作家だ。
でも、なんか足りない。エリカの物語、めっちゃいいけど、なんか「俺の魂」がまだ出し切れてない気がする。優希はスマホを手に取る。美咲さんからのLINE。「佐藤くん、原稿、めっちゃ楽しみ! 最終選考、絶対いけるよ!」 美咲さんの笑顔、癒されるけど、プレッシャーやばい。
そこに、謎の通知。差出人なし。「佐藤くん、物語、完成させなよ。君の魂、待ってるよ」 優希、ビクッ。(え、誰!? エリカ!? いや、まさか……) でも、なんか胸が熱くなる。エリカ、転校生なのに、なんで俺の創作のことこんな分かるんだ? 彼女のミステリアスな笑み、脳裏に焼き付いてる。
(よし、ラストスパートだ! エリカ、龍馬、山下さん、読者、みんなぶち抜く!)
学校の放課後、優希は校庭のベンチでエリカと再会。夕焼けが、彼女の銀色の髪をオレンジに染める。なんか、いつもよりリアル。まるで、ほんとに聖女エリカみたい。
「佐藤くん、原稿、だいぶ形になってきたね」 エリカが微笑む。
「エリカ! なんでまた!? てか、ほんと何者!? なんで俺の小説のこと、こんな知ってるの!?」 優希、ついに聞いちゃった。
エリカがクスクス。「ふふ、ついに聞いちゃった? じゃあ、教えてあげる」 彼女が一歩近づく。なんか、空気がキラキラしてる。「私、君の魂が生んだ存在。君の物語に込めた情熱が、私をここに連れてきたの」
優希、ポカーン。「魂!? 情熱!? え、つまり!?」
「君が本気で書くとき、私が生まれる。君のエリカ、私の原型。君の魂が強くなるほど、私もリアルになるよ」 エリカが優希の手を取る。手、めっちゃ温かい。「君の物語、めっちゃ好きだよ。もっと見たいな」
優希、頭パニック。(エリカ、俺の創作の魂!? 具現化!? ラノベすぎるだろ!) でも、なんか納得。彼女の言葉、いつも創作の火を点けてくれた。渋谷のギャル、コスプレの情熱、全部エリカが後押ししてくれた。
「エリカ、俺、ほんと分かんねえけど……ありがと! 君のおかげで、俺、変われた!」
「ふふ、君の魂、めっちゃ輝いてるよ」 エリカが微笑む。「でも、まだ出し切れてないよね? 最終選考、君の全て、ぶち込んで」
優希、頷く。「うん! 俺、魂、全部出す! エリカ、見てて!」
「楽しみ。君の物語で、また会おうね」 エリカが夕焼けに溶ける。優希、なんか目から汗。(ち、汗だ! 泣いてねえ!)
その夜、優希は部屋でPCに向かう。エリカの正体、めっちゃ衝撃だったけど、なんかスッキリ。彼女は俺の魂。なら、俺が本気で書けば、彼女も本気でいる。原稿、ガチで仕上げるぞ!
エリカの物語を書き直す。聖女として世界を救う話じゃない。孤独な少女が、ヒーローと共に希望を見つける話。幼少期のトラウマ、ギャルの恋バナ、コスプレイヤーの情熱、全部混ぜた。エリカの聖衣、シルクと革、戦うときヒラッと舞う。剣を構えるポーズ、光の翼出すシーン、めっちゃカッコいい。ヒーローとの最後のシーン、エリカが言う。「私は、君の物語を信じてる」
優希、なんか泣きそう。(これ、俺の魂だ! 読者、絶対ぶち抜ける!)
締め切り前夜、星雲社の編集部。時計は深夜2時。蛍光灯がチカチカ。優希はノートPCを叩く。机にはカップ麺の空容器、エナドリの缶、山下のコーヒーマグ。山下が隣で原稿をチラ見、コーヒーをすすってる。
「佐藤、ヒロインの最後のセリフ、もっと短くしろ。魂は一言で伝わる」
「一言!? でも、感情全部詰め込みたいんです!」 優希、叫ぶ。
「バカ! 全部詰め込むから薄まる! 読者に刺さる一撃を撃て!」 山下、眼光鋭い。
優希、目を閉じる。エリカの笑顔。「君が本気で書くなら、私も本気でいるよ」 彼女、俺の魂。なら、俺の全て、ぶち込め!
「……分かった。こうだ!」 優希が打ち込む。エリカの最後のセリフ。「私は、君の物語を信じてる」
山下が原稿を読み、ニヤリ。「ふん。悪くない。佐藤優希、キミ、やっと作家の顔になったな」
優希、胸が熱くなる。「山下さん……俺、初めて、自分の物語が書けた気がします」
「なら、読ませてみろ。俺の心を、鷲掴みにしろ!」 山下、コーヒーをドン。
美咲が編集部に飛び込む。「佐藤くん! まだ起きてる!? 原稿、できた!?」
「できた! 今、最後のシーン!」 優希、叫ぶ。
「やった! 山下さん、佐藤くん、めっちゃ頑張ったよ!」 美咲、目を潤ませる。
山下がコーヒーを置く。「林、騒ぐな。佐藤、原稿、提出だ。新人賞の最終選考、キミの物語で勝負しろ」
優希、頷く。「はい! 絶対、魂見せます!」
翌朝、優希は原稿を提出。編集部のプリンターがガガガッと動く。『聖女エリカの無双冒険譚』、300ページ。優希の魂、全部詰まった。
美咲が笑顔。「佐藤くん、めっちゃいい原稿! 私、読んで泣いちゃった!」
「ほ、ほんと!?」 優希、ガッツポーズ。「じゃあ、読者も泣く!?」
「ふん」 山下がコーヒーをズズッ。「泣くかどうかは、読者が決める。佐藤、キミの物語、初めて魂が見えた。だが、結果は分からん。龍馬の原稿も、相当だ」
「龍馬……」 優希、唇をかむ。7人のヒロイン、ダークヒーロー。負けたくない。でも、なんか、負けるのが怖くなくなってきた。だって、俺の物語、魂込めたもん!
「山下さん、美咲さん、ありがと! 俺、結果はどうでもいい! 読者に届けば、それでいい!」
山下が珍しく笑う。「ふん。やっと作家らしいこと言いやがった。佐藤、授賞式、楽しめよ」
美咲が拳を握る。「佐藤くん、絶対いける! エリカ、最高だよ!」
優希、笑う。(エリカ、俺の魂、ちゃんと届いたかな? 新人賞、行くぞ!)
その夜、優希は家でベッドに寝転ぶ。エリカの笑顔、なんか遠く感じる。彼女、俺の魂なら、原稿完成した今、どっか行っちゃった? いや、違う。彼女、俺の物語の中にある。
「エリカ、ありがと。君のおかげで、俺、魂見つけられたよ」
窓の外、星がキラリ。優希、なんかワクワク。(新人賞、どんな結果でも、俺の物語、始まったばかりだ!)