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即興短編集  作者: 牧田紗矢乃


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1/6

ホワイトシチューをブラウンにする画期的な方法/ホラー(制限時間15分)

 今日は初めてのおうちデート。

 丹精込めて作るのは、得意料理のシチューだ。

 彼も気に入ってくれるといいんだけど……。


 鶏肉を一口大に切り、続いてにんじんを乱切りに。

 玉ねぎは存在感を残したいから櫛切りかな。ジャガイモは溶けてしまわないように、鍋には入れずレンチンで火を通す。

 あとはじっくりコトコト煮込んで……――。


 ピンポーン。


 チャイムが鳴る。

 玄関に出ると、買い物袋を手に下げた彼が立っていた。


「いらっしゃい、もうすぐできるよ」


 笑顔で彼を迎え入れる。

 彼は楽しみだなぁと言いながら、リビングのソファーにどっかりと腰を下ろした。


「お待たせ。お口に合うといいんだけど」


 言いながら、食卓にシチューとバケットを並べる。

 それを見た彼の表情が曇った。


「え、シチューってさ……」

「ん? なんかあった?」

「いや、普通ブラウンでしょ」


 えっと……それは私が作ったホワイトシチューが嫌ってこと?

 疑問に思いながら、食卓で湯気をたてているシチュー皿に目を落とす。


「ほら、ビーフシチューに合わせるのにこれ買ってきたんだからさ。作り直してよ」


 そう言いながら彼が取り出したのは、赤ワインのボトルだった。


「そうだね。赤ワインには牛肉だよね」


 頑張って笑顔を維持しながら、ワインボトルを受け取った。


「ったく、これだからお前は……ぐあっ!?」


 彼が舌打ちをした瞬間。

 私は考えるより先にワインボトルを彼の頭に振り下ろしていた。


 彼はしばらくうめき声を漏らした後、動かなくなる。

 皿の中のシチューは、彼の血が混ざって変色していた。

 きっとこのまま置いておけば、彼の望むブラウン色のシチューになることだろう。

お題「シチュー」

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