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何よりも惹かれたもの

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

日々自身のフェチに気付かされているような、いないような。

次にドツボるのは何なのか気になって来ました。

「あら、お写真拝見したときよりも、ずっとずっとお綺麗」

そう言って、他人行儀に笑った。今まで見てきた人間達は、下心混じりの視線を浴びせて来たが、彼女はそうでは無いらしい。

僕は彼から頼まれていた代物を鞄から出す。彼女がずっと探していた絶版になったCD。それを見た途端、目付きが変わった。他人行儀ではなく、私欲を剥き出しにした鋭い眼光。胸ぐらを掴まれるかと思って息を呑んだ。

「お代は千円ね」

「えぇ。有難う」

彼女は千円札を僕に差し出すと、蠱惑的な瞳で胸に抱き締めた。がなりの効いた目は也を潜めていた。


風呂上がりに彼女の髪の手入れをしながら、自分達の出会いを思い出していた。

「初めて見た時、この子、僕に興味ないんだなって思った。あんまり靡いてくれない子は珍しいから興味持った」

あの他人行儀で無機質な瞳。確かに『お綺麗』とは称してくれたが、それ以外の感情は何一つない。興味関心もない。それ故に記憶に残ったのは明確で。

彼女は僕の方を振り返ると、きょとんとした顔で見詰めて来た。

「そう? 結構興味持っていたよ。貴方のお顔は綺麗じゃない。そして綺麗なもの好きなのは、貴方も知っているでしょう?」

「そうだけど……」

美しいものが好きと言うとは嘘では無い。でも何と言うか、その感情が恋愛とか愛欲に発展しないと言うか……。ただ物を賞賛するだけにそう称していると言うか。

「もしかして、好みの話をしている? それなら顔よりも優先するものがあるよ。まずは髪質。次に匂い。最近は声もそうなんじゃ無いかと思い始めてる。所謂、フェチって奴」

フェチねぇ。男性の方がその傾向が強いと聞いたことがあるが、女性も隠しているだけで、それなりにあるのだと思う。この子の様に……。

「ぶっちゃけ、伽羅の匂いも爽やかで官能的なシトラスもなかったけれども、声聞いてドツボにハマった」

体をくるりと回転させて、首から頬へと指を這わす。親指で唇に触れると、出会った時のように蠱惑的な瞳で口を開く。

「もっと話してよ。艶と温かみのある、ベルベットみたいな声で話してよ」

綺麗な人に対して『あら、お綺麗』と言い放ちつつ、全く興味無さそうな子が書きたくて。

でもいざ興味あるものを出させたら、強欲に求める子が書きたくて。


最初は多分、『あら〜綺麗な顔。~完~』で印象終了していたと思うんですよ。

でも最後、ギラついた強欲な瞳からちょっと蠱惑的なものに変化しているんです。

声聞いて落ちたな〜。とか思いながら見てました。


フェチってそう言うものです。気が付くとドツボ。

でも自覚する前に『あれ、これ好きなんかな? 好き……なのか?』という謎の数日間があります


髪フェチ気がついたのが中学の時、匂いフェチ気が付いたのが多分大学、声フェチかもと思ったのが本日。

柔い、癖のない、あまり響かない声が好きなのも知れないと思った本日です。

単純に小心なんですよ。直ぐに1センチ浮きますし。


性癖ばかり自覚して、段々と我儘になってます。

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