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ハタチ

作者: Nemuri

20歳ハタチになり、数か月がたった。



ハタチになる直前、言葉にできないそわそわ感が私を支配していた。


私は、「飛べない鳥」だ。

「両親」という名の鳥かごに支配されている。




自由になれると思っていた。


スマホに入れられている位置情報アプリ。


日没まで という早すぎる門限。


SNS・交友関係の制限。


もううんざりだったんだ。人であるのに、人ではないような感覚。


周りは何も悪くないのに、うらやましくて自分から壁を作ってしまう私が汚いと感じていた。




変わりたかった。


ココロでは疑問を感じていても恐ろしくて両親に逆らえない。


ずっとずっと、記憶がないような幼いころから両親の言うとおりに過ごしてきた。


習い事は女の子らしく上品なものを。


競うことで自分を高められるようなお友達を作りなさい。


辛いと感じても、意外とまだがんばれるから限界を超えなさい。


将来は安定した職業を目指し、安定した出世の望める男性と結婚できるよう努力しなさい。


自分のことを自分で決めることが、難しく恐ろしいのだ。


自分から「夜ご飯はカレーが食べたい」ということすら、言おうと考えたことがなかったんだ。












20歳(ハタチ)になって、数か月がたった。


私を取り巻く環境は、少しだけ変化した。


でも私は、何も変わっていない。




大学に行けなくなった。


学校に行くと胸が痛み、息をするのが苦しくなる。


講義の規模や時間帯関係なく教室にいると威圧感を感じてしまう。


誰も私のことなど見ていないのにずっと見られているような気がして叫びだしたくなる。


半年ほど我慢し、知らないふりをし、大学に通い続けた。



そのうち、ハタチになったくらいの時、身体が壊れそうになっていると気づいた。


課題に取り組めなくなり、


通学のために電車に乗ると涙があふれ、


講義の内容を聞こうとすると激しい頭痛と耳鳴りが起こる。


大学に勧められ、精神科を受診した。


休むべきである と診断書を出された。




私はまだ、ここまでなるまで自分の口で自分の意志を両親に伝えることができなかったのだ と自分に呆れた。


ハタチになっても尚、私は何も変わっていないのだと強くはっきりと認識した。


診断書という確固たるものがあっても恐ろしくてなかなか両親に言い出せなかった。


それどころか、これまではできていたうまくやり過ごすことすらできなくなってきている。


ココロに感じる疑問や感情をうまくコントロールできない。


些細なことで一気に怒鳴り散らしたり、じっとしていられなくなったり。


きちんと言葉で伝えることができない。











20歳(ハタチ)になって、数か月がたった。


私は全然自由じゃない。変わっていない。大人なんて絶対呼べない。


いつになったら解放される?


このままではきっと、いくつになっても変わらないのだろう。


神様、願わくば私に現状を変えることのできるだけの勇気と活力を


自分の想いを曲げないと誓う決意を。


年齢など関係ない、変わろうと、自由になろうと決めたその時にはじめて人は変わるのだと。


頑張って、20歳(ハタチ)になった私。


ここが正念場だよ。






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