8話 【side:辺境伯】ぜひともスカウトしたい男
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ビッグトレント討伐が失敗に終わり、さっそく半壊したガーバーとギルド長の計画。
残すもう半分、チェーロの替え玉作戦も見事に失敗に終わっていた。
ガーバーらが瀕死の状態でギルドまで逃げ帰ってきたところ、チェーロに会うべく訪れていたスカッピア辺境伯と鉢合わせたのだ。
コボルトに好き放題やられたという失態も、周りで見ていた冒険者らの証言によりもたらされていた。
「チェーロ殿はもうこのギルドにいないのだな……?」
それにより、嘘はあっさりと看破されてしまったわけだ。
怒りをあらわにした辺境伯の顔に恐れをなしたギルド長は、数日前に追放処分としたことを正直に吐く。
「すぐばれるような嘘をつくとは……。ギルドも低レベルなら、所属する冒険者も低レベルということか。
Aランクパーティだとはいうが、チェーロ殿が抜けただけでコボルトにすら勝てないときた。その実績もほとんどはチェーロ殿におんぶにだっこ、だったというわけだな」
スカッピア辺境伯がそう分析する。
それに対して反論したのは、右腕を抉られるなど、大けがを負って満身創痍のガーバーだ。
「ふ、ふざけるな。あいつこそお荷物だったんだ!! 魔法も使えねえ、属性「空」の冒険者がお荷物でなくてなんだっ!!」
「ではなぜ、その荷物が減ったというのにそこまで弱くなったと言うんだ」
「き、今日は俺様達の調子が悪かっただけで……」
「それにしたって、コボルトに負けるようなことはあるまい」
もちろん正しいのは、スカッピア辺境伯の意見だ。
だが、あくまでガーバーは聞き入れない。
さすがの彼も、なにかがおかしいと気づきはじめていた。
が、それがチェーロが抜けたことによる影響だと認めるのは、その異常に膨れ上がったプライドが許さなかった。
「ともかく、もうここにチェーロ殿がいないのなら用事はない」
そんなガーバーを、辺境伯はもはや相手にしない。
「偽りの報告をして情報を撹乱させた罪、虐待を放置した罪は重いぞギルド長。しばらくしても改善が見られなければ、強制解散だ」
最後にこう残して、ギルド『星のまたたき』を後にした。
スカッピア辺境伯は、すっかり暮れた夜空を見上げる。
「チェーロ殿、今どこに。必ず探し出して、礼を述べなければ。それに早くビッグトレントの退治も依頼したい……」
いや、それだけでは足りない。
パーティを追放されていた事実には驚かされたが、これはむしろ好機でもあるのだ。
そばに控えていた部下に声をかける。
「なんとしても早急に探しだしてくれ。我らが衛兵団にぜひともスカウトしたい」
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