23話 あっさりAランクポーションができたんだが。
セレーナによる恩返しは、その日のうちに実現へと至っていた。
「さすがチェーロさん。ポーションを自分たちで作ろうだなんて、考えてもみませんでしたよ、私!」
「あんまり褒めないでくれよ、レベッカ。セレーナに出会ったから思いついたんだ。光属性の魔法を使えなきゃ絶対にできないことだしな」
「うちのはじめての仕事……! 頑張る!」
三人でとりかかるは、回復ポーション作りだ。
そりゃ街に行けば、買うことはできる。
けれど、最近頓に(とみに)にその値段が高くなっていた。
需要が増していることや、流通する数が少なくなっていることもあるのだろう。
一番出来の悪い、Dランクのポーションでさえ、一万ペルという値段で取引されているのを見かけた。
だが、どれだけ高価だろうが、冒険者たるもの有事に備えて所持しないわけにはいかない。
巷では、それが原因で財政難に陥るパーティもあるとか。
「作れたら大手柄だな、セレーナ」
「あ、あんまり期待かけすぎないでもらってもえぇ? また毒玉生み出すかもしれへんし……」
本人は自信なさげだったが、心配はいらない。
すでにバフはかけ終えていたし、ステータスを見てみても『呪いの毒術』なる特殊スキルは解除できている。
「神のご加護をこの手に。白光治癒・ケアヒール!」
彼女は三角にした両手を水晶玉へとかざす。
すると、ぽわり丸い光の玉が生まれた。それをレベッカがすかさず、専用瓶へと閉じ込める。
失敗の場合は瓶がわれるのだが、無事に収まってくれた。
「って、しかもなんかキラキラ光ってますよ、白色!」
「……白ってたしか、Aランクポーションだったような……! おいおい、毒どころじゃないぞ」
俺はあまりの驚きで、まばたきをたっぷり10秒。
「すごい、本当に大手柄だぞ、セレーナ! 今、Aランクのポーションなんて、この街で他に作れる人いないんじゃないか?」
それを作り出した彼女に、俺は惜しみのない賛辞を贈る。
が、二人の反応は少し違っていた。
「なにを言ってはるん? うち一人なら、こんなすごすぎるポーション、絶対に作られへん。だって、一人なら毒しか生み出せへんかったんやし……!」
「というか! チェーロさんなら作れるんじゃないですか? たしか、空属性魔法は、バフをかけた相手の魔法を使えるようになるって話ですよね」
あー、そういえばそうだった。
あんまり便利すぎて、すっかり忘れてしまっていた。
まあ、使えるかどうかはやってみれば分かる話だ。
俺はセレーナの持っていた別の水晶を拝借して、見様見真似で魔法詠唱をする。
と、さきほどセレーナがやったのと同じようにして、白い玉が生まれる。それを再びレベッカが瓶へと閉じ込める。
「やっぱりできた! さっきと同じ、Aランクポーション!! さすがです、チェーロさん!!」
「……ほんますごいな。こんな簡単にできるもんやないよ、普通……!」
「俺もびっくりしてるよ、正直な」
おいおい、やっぱり、ちょっと便利すぎるぞ、この属性。大外れと診断されていたとは、到底思えない。
「クエストに行くまでもっと時間かかるかな、と思ってたけど……。この分なら、今日中に俺たちが使う量はよゆうで作れそうだな」
「余裕すぎなくらいですよ! なんなら余りそうです」
つまり、だ。
「明日にでも、クエストに行けそうですね! ついに、私たちが冒険者として日の目を見る晴れ舞台に上がるのですっ!!」
「く、クエスト! なんや、ええ響きやね。ついに、うちもちゃんと依頼をもらって冒険者になれる!」
それから、俺たちはどんどんとポーションを作っていった。
明日に疲れを残さない程度に、だ。
幸いステータスを見ることにより、残魔力量は把握できたから慎重に進めていく。
「こんなに作って大丈夫なんですか!? たしかポーション作りって、かなりの魔力を要しますよね」
「まあ、俺は魔力量が多い方みたいだからな」
「だから、次元!! 多いとかいう次元じゃないですから!」
結果として、かなりの本数作ってしまったが……。
あるだけあって困るものではないので、まあよし?
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