20話 【side:ガーバー】パーティ瓦解のはじまり
こうして、チェーロたちが新たな仲間を増やす一方。
ガーバーらは、仲間割れをしていた。
「ははっ、バカを言え、ワンダー! あのうすらボケた給料泥棒・チェーロが、俺たちの魔法能力を底上げしていたダァ?」
「私も違うと思いたい。だが、彼をクビにしてからというもの、どうにも調子が悪いどころの話ではなく、我々は弱くなっている。
少しは考えねばならない線だと思ったのだ」
「はんっ、考える必要もない話だ! あんな魔法一つ使えない奴に価値があったなんてありえん」
街のとある食堂の一角にて。
パーティリーダーのガーバーと、その所属冒険者・ワンダーは言い合いをする。
どちらが正しいかと言えば、もちろんワンダーの方だ。
ただし、ワンダーとて全てを受け入れて理解したわけじゃない。
そうでなければ、ほかに理由が考えられない。
消去法で考えた結果であった。
頑固で意地張りなガーバーはしかし、ワンダーの主張を一切認めない。
その光景に、水の弓使いであるボーゲンはため息をついた。
「ふん、静かにしないかガーバー。一つ確かなのは、俺たちが不自然に弱体化したという事実のみ。あとは推論にしかならない」
「貴様はいつもいつも分かったようなことを言いやがって、気にくわねぇ……!」
ガーバーはボーゲンに掴みかかる。
しかしボーゲンはあくまで意に介さない。
離せ、と一言だけ告げて、ガーバーの腕を解いた。
「俺はこの新メンバーがデバフ魔法をかけている可能性があるかもしれない、とそう言っているのだ」
「うぇぇっ!? あたしが!?」
トバッチリもいいところだった。
ディアナは驚きのあまり、飲み物を膝上にこぼしてしまう。
パーティに加入して早々、険悪な雰囲気になってしまったこともあり、まだパーティに馴染みきれていなかった。
端っこの席で黙っていたら、突然ありもしない罪を着せられたわけだ。
「そ、そんなわけありません! この前だってみなさんを助けたのは私ですよ!? そんな、わざわざ足を引っ張るようなことするわけありませんって」
ディアナは身振り手振りで否定するが、ガーバーは彼女の顔面を無遠慮に指差す。
「ははん、俺様分かったぜ!! さては、女! お前、他のギルドからのスパイだな!?」
「うぇぇっ、違いますってば。そんな突拍子もないこと言われても」
「じゃあ無実だって言う証拠を見せてみろよ、女ぁっ!!!」
「そんなのありませんけどぉ……!!」
一方的に罪をなすりつけられて、このまま終わるわけにはいかない。
ディアナは懸命に否定するが、ガーバーはやはり自分の意見に固執していた。
これで決着がつくわけもなく……。
しばらくしてガーバーたちは、店を追い出された。
どうやら騒ぎすぎたようで、周りの客からクレームが入ったらしい。
表に出たところで、ガーバーはディアナに突きつける。
「今度のクエストは俺様たちだけで行く!! お前は待機だ、女ァ!」
「……いいですけど、知りませんからね?」
「はんっ、言ってな! 俺様たちだけなら、あんな失態ありえねぇんだ」
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