17話 腰を抜かしながら脅されても全然怖くないんだが?
「炎よ燃え盛りて、我が盾となれ。焔の盾・フレイムシールド!」
俺はまず自分と襲撃者たちの間に、火の防御魔法を張った。
そのうちに、屋敷の門番らを中へと避難させる。
安全を確保したうえで、シールド魔法を解除し、改めてノワール商会と対峙した。
「……やっぱり多いな、こりゃ」
「ははーん、俺たちの数におじけづいたかぁ? だが、今更もう遅いぞ? 昼間、俺たちに喧嘩を売ったんだ。その御恩はきちんと返させてもらうぜ」
昼間、妙な因縁をつきつけてきた男が、にたにたと笑って言う。
さっさと戦ってしまってもよかったが、気になることもあった。
「そこまでして俺たちを襲ってなんの利益があるんだよ、お前たちに」
「へっ、簡単なことよ。賠償金をまだ払ってもらってないんだ。それに……うちの商会を取り仕切ってるボスは短気なんだ。昼間の件を報告したら、もうぶち切れよ」
要するに、喧嘩を吹きかけたはいいが、それを正面から返されたので、いらだっているらしい。
要求してきた額も子供なら、考え方も子供じみている。
「ま、なんだろうが、俺たちは命令に忠実にあんたらを確実に仕留めるだけ。眠ってるところを襲うつもりやったけど、これだけいれば何の問題もないぜ」
男は、刀を振り付けて後ろに続く部下たちに命じる。
「やっちまいな。いかにこやつが強かろうと、世の中、数よ。衛兵たちにばれないように、闇夜のなかで片づけるんだ」
ついに、始まってしまったらしい。
そこかしこから、俺に武器を向けた兵士たちの魔法詠唱が聞こえてくる。
多勢に無勢。
いや、そんなものではない。こっちは二人だけ。
だが、今は魔法属性「空」だと誤って信じ込んでいたときとは違う。
「すべてを切り裂き吹き荒れよ、嵐風の斬撃・ウィンドスラッシング!」
放ったのは、袈裟斬りからそのまま身体を強くひねることで勢いをつけて放つ剣技だ。
剣術だけは昔から習ってきたから、型は覚えていた。
初めて魔法の発動と合わせたが……
「ぐ、ぐわああああっ!」
「な、なんなんだ、とんでもない風、これは竜巻っ!? くそ、巻き込まれるっ!?」
ざっと見積もって半分以上は、この一撃だけで仕留めることができた。
逃走する兵士もあらわれだす始末だ。
まだ戦意があるものも、爆風に翻弄されている。
何人かは運よく免れたのか、近くまで襲い掛かってくるが、スピードを活かして対処した。
あるものはその背中を峰で叩くことで、またあるものは武器を壊すことで、次々に倒していく。
「数は、これで並んだか?」
見る間に、屋敷の前に大量に詰めていたはずの兵士は、ごく少数になり果てていた。
「ひっ、ひっ、ひいっ!? ば、化け物めっ!! 人間業じゃねえ! てめえ、悪魔の子か何かか!?」
敵の兵士の一人が地面に這いつくばりながら、のどをひきつらせつつ言う。
「あなたがたの方がよっぽど悪魔じゃないかしら? 罪なき者に夜襲をかけるなんて最低以外のなにものでもないかと思いますけど」
それに門の奥から反論したのは、レベッカだ。
その声音は、ちょっと不満そうだった。
「チェーロさんったら、私が雷魔法で遠距離攻撃って話だったのに! 強すぎて、やることなかったですよっ」
「まあ、いいだろ。とにかく勝ったんだし」
「そーですね、いいですよっ。これでもう襲ってくることもありませんしね♪」
さて、こいつらの数人を捕まえて衛兵団に引き渡そうか。
そう思った時だ。
「へっ、へっ、まだだぜ! 俺たちには奥の手があるんだっ」
その声は、さきほどまで先頭に立って指示をしていた男のものらしかった。
が、その声は遠く、姿も見えない。
よーく暗闇に目をこらすと、いた。
街路樹の陰に身を隠しながら、声を張り上げている。
……ビビりまくった顔で、そんなこと言われても困るんだが?
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