13話 【side:辺境伯】自分には収まりきらない器の男
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その夜、街の中心に鎮座する辺境伯邸に、一人の衛兵が任務報告に訪れていた。
「へ、辺境伯さま。お頼みいただいていた人探しの件について、ご報告にあがりました」
「さすがは仕事が早いな、うちの衛兵たちは。それで見つかったかな、チェーロ殿は」
「そ、それが…………」
「どうした、歯切れが悪いようだが」
スカッピア辺境伯の鋭い切り返しに、しどろもどろになりながらも彼は事態のあらましを説明する。
事情があったとは言え、任務をしくじったのはたしか。
叱りつけられるかと怯えるのだが、
「はははっ、そうかそれはまたなんとも」
辺境伯はむしろ柔和な笑顔を見せた。
「躾のなっていない衛兵から街人を守ってくれたうえで、もう新パーティに入っているからと、礼も仕官も断ったか。
これは私が見誤っていたかもしれないな。思った以上の大器、大きな男になるやもしれない、チェーロ殿は」
「………‥同意でございます。
仕官話を蹴って、人助けのためのギルドを作ろうだなんて、普通じゃありえませんよ。
ちょっと欲のある人間ならば、どんな夢があろうとも飛びつく。
それを断るのだから、とんでもない男でございますよ、あの方は。ともにいたレベッカさましかりですが」
「欲ではなく夢を取ったというわけだな。しかしそうか、クリーンなギルドか」
辺境伯の頭によぎるは、ギルド『星のまたたき』にて見てきた醜い連中の顔だ。
強い者に媚びへつらい、弱い者をいじめるギルド長。自分達の実力を見誤り驕り高ぶったガーバー。
正反対に汚いギルドを見てきたばかりだからこそ、チェーロらの掲げる理想が眩しくて仕方がなかった。
「私の方も欲を掻いたのかもしれないな。彼を衛兵団に入れようだなんて」
自らの小ささを思い、恥ずかしくなる。
かくいう自分も身分に比べて、小さい男なのかもしれない。
少なくともチェーロという男を器に収め切れるほどではなさそうだ。
だが、気づくことができたからには、変わることもできる。
「あいわかった。そういった理由であれば仕方ない。無理を強いて、迷惑をかけても仕方ないからな。
だが、礼だけはきちんとさせてもらうことにするよ。受けた恩はきちんと返さねばなるまい」
「……ですが、どのように?」
「彼らがギルドを作りたいというならば、その支援をするのだ。目的を後押しすれば、手を貸すことはできる。私も彼らの夢に乗りたくなったのさ」
具体的な方法も、既に浮かんでいた。
「現在、チェーロ殿らは、どこのギルドにも所属していないのだったな?」
「調べによれば、そのようでございます」
「それでは不便も多かろう。よし、私の権限で特別に、彼ら二人のダンジョンへの自由な立ち入りを認めよう。
ちょうど依頼したい任務もあるのだ」
知らずのうちに、スカッピア辺境伯からの評価を上げるチェーロであった。
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