第十六話 二期作初挑戦
新章です。
これが出来るということは、ルフィアに経済的な余裕ができたって証拠です。
ここから後半戦になりますんで、最終回第39話まで、お付き合い願えると幸いです。
その頃、クレイスター村で完売という上々の滑り出しを見せた私、ルフィアは、あることに挑戦しようと思っていた。
そう、「二期作」だ。
冬でもトマトが採れるように栽培する手法に挑戦して、売り上げを高めようということを考えていたので、いつもの道具屋での出稼ぎを終えた後、私はスパイアさんに相談することにした。
「……ということで、フェミータでも売れるように二期作をしてみたいんですけど……」
「この時期にやるのか? トマト栽培を?」
「ええ……。せっかくあそこまで売り上げが出来たのに……冬でも私のトマトが食べたい、というお声を頂いたわけですから……どうせならやってみたいと思いまして……」
「……出来ねえってわけじゃねえが、多少味は落ちるぞ? それでもいいのか? それにここら辺は寒くなる。失敗すれば大損害だぞ? それでもやるってのか?」
「やります! それに、勝算はあります!」
私は本気だ、だってフェミータ王国ナンバーワンのトマト農家になるって、ラヴィオとも約束したのだから。
策は考えているし、そのために寝る間も惜しんで、あるものを造っていたのだから。
「ほう……面白えじゃねえか。ルナ、今からお前の家に向かう。案内しろ。」
「ハイ!」
そういって、スパイアさんは馬を私の家まで走らせて行ったのだった。
私は家と別に建てていたあるものをスパイアさんに初披露した。
トマト専用ログハウスだ。
とはいってもただのログハウスではなく、屋根が全面ガラス、保温用の暖炉、そして一酸化炭素中毒防止用の窓を備えた建物を、トマトを育てている合間や、出稼ぎの合間に建設していたのだった。
それに、建物自体も保温性に優れている木材を使用している。
建て付けはバッチリ……のはずだ。
設計上は。
「なるほどなあ……たしかにここは平地だからなあ。俺みたいに険しい山じゃねえからこういうのは造れるか。……本当に、ルナは大したやつだよ。」
師匠に褒められた、それだけでも私は嬉しかった。
「ありがとうございます!!」
「よし……お前の気持ちは分かった。そこまでやるなら頑張ってみろ。上手くいくかどうかはお前の腕次第だ。……大丈夫だろ、俺の下で学んできたんだろ? ルナ、お前ならやれるさ。」
太鼓判を押される。
それだけで俄然自信が湧く。
「ハイ! 絶対に成し遂げてみせます!!」
スパイアさんは私の家を後にし、私はトマトの苗を植えて行った。
冬に採取する予定でいるので、秋のうちに成長してからが本番だ。
炭を、暖炉を起動させるタイミングは終秋。
それまでは私も丹精込めていつも通り育てる。
初めての試みだったので不安は大きいのは事実。
だけど私はこんなところで負けるわけにはいかない。
だって約束したのだから。
ラヴィオに、フェミータ1のトマト農家になるって。
私は右拳を握りしめて、改めてそう誓ったのだった。
今後の展開としましては、商談も入ってきますので、そこら辺もこの章で書ければいいかな、と思います。
アーススターノベルズ大賞の応募期間終了までに、この次の章まで進めればいいかなと思いますので、今後ともよろしくお願いします。