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009 命名、アジーン

「・・・ろ」

「ん・・・」

「・・きろ」

「ん、あ・・・ヒィッ!?」

「ゼロよ、些か朝に弱すぎるのではないか?」


 朝に弱いからって殺気で起こすのはありなんでしょうか。

 そのまま心臓が止まるかもしれないからやめてくれよ。


「悪い・・・精神的に疲れてたのかもな。おはよう」

「うむ、そろそろ此処を出る」

「出るったって行くところは決めてるのか?」

「お主次第だな」


 こいつはなにを言ってるんだ。


「俺次第って言われてもな・・・この世界の知識が皆無の俺にそれを決めさせるのは酷じゃない?」

「儂とて()()のこの世界の知識は少ない。左右どちらか選べば人里にでもつくであろう」

「適当すぎるだろ。そもそも人里離れた場所に住みたくて此処を選んだんじゃなかったのか?外に出たってしばらくはなにもないんじゃないの?」

「・・・」


 顎に手を当てて神妙な顔で何かを考え始める目の前の男。

 俺の予想だと行くあて無しってところか。


「この世界って足は何なんだ?」

「足・・・?移動手段のことか。それであれば馬が一般的であったな」

「馬ねぇ・・・御者も居ないのに俺たちがどうやって馬を使って移動するかは考えたか?あんたが御者ってわけでもないだろ?」

「お主と居ると色々と考えさせられるな・・・」


 いや、お前がなにも考えてないだけでは?


「困ったら殺気飛ばすのやめろ」

「お主が儂を貶すような目で見るからだ」

「いや、意外と抜けてるんだなと思ってな。しかし・・・」


 どうしたもんかねえ。

 俺は完全に目の前の男に頼る気満々だったわけなんだが。


「動かないと始まらないか・・・。そう言えばあんたの名前の候補幾つか考えたんだけどさ、1つに絞れなくて困ってるんだよ」

「好きに呼べと言ったはずだ」

「だから好きに呼ぶために候補を考えたんだよ」

「物好きなやつだ」

「よし、決めた。お前は今日からアジーンだ、よろしくなアジーン」


 アジーンに名前を告げた瞬間、猛烈な倦怠感に襲われる。


「なに、これ・・・?なんかアジーンって決めた瞬間めちゃくちゃ身体がだるくなったんだけど・・・」

「まさか・・・契約が成立したと?儂相手によくやったものだな。やはり規格外というわけか」

「一人で納得してるところ悪いけどこっちは全くついていけないから。説明求む」

「儂は人にあって人に非ず。それは隠蔽を見抜いたゼロならわかるであろう」

「まぁ、だってアジーン顔髑髏だし」

「つまり儂は名実ともにゼロの従者、ゼロにわかりやすく言うと使い魔や従魔の類になった。ということだな」

「なんだそれ?」

「人間・・・人に分類される者以外は基本として名を持たぬ。名付け親となる者がおらぬからな。魔物は俗称こそあれどそれは人間たちが共通認識しやすいためにつけられたものだ。儂も悠久の時を経て人外となっていたようだ、薄々気づいてはいたが」

「わかりそうでわからんのだが・・・それは俺とアジーンに取って良いことなのか?」

「儂はゼロから魔力の供給を得ることで力を増す。ゼロは魔力を代償に使い魔を強化できる、と言ったところだな」

「アジーンを強化する度にこの倦怠感に襲われないといけないってことか?」

「そうではない。一度契約が成立してしまえばそのような倦怠感に襲われることもないであろうよ、詳しいことは知らぬ。遠い昔の記憶を辿っただけなのでな」


 よくわかんないけどただでさえ強いアジーンがさらに強くなるんならwin-winなのでは?


「そっか・・・難しいことはよくわかんないけどアジーンが更に強くなるんならそれは俺にとっても嬉しいことだしいいんじゃないか?」

「強力な魔物であればあるほど、契約に消費する魔力量は多くなる。故に従魔士は魔力依存が強くなるのだ、自身の最大魔力量以上を吸う魔物とは契約はできぬからな」

「従魔士になったつもりはないんだけどな・・・近接戦闘は訓練したけど魔法の訓練なんてなにもしてないし」

「旅の中で成長してゆけ」

「そんなもんかね」




 その後少し遅くなった朝食を済ませた後、ゼロとアジーンは拠点を出るのであった。

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