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序-004その名はゼロ。

「ん・・・んぁ?」

 此処、何処?

 おれの部屋じゃないことは確かなんだけど・・・。

「夢・・・みたよな?これもまだ夢の続き・・・」

「ではないよ、改めましてこんにちは、いやおはようと言ったほうがいいのかな?零士くん」

「あ・・・あんたは・・・昨日夢の中に出てきた!?」

「覚えていてくれたようでなによりだよ。さてと、前置きはこれくらいにしておいて・・・ようこそ、ウェルバスフの世界へ。夢の中の会話は覚えているかな?」


 ウェルバスフ・・・?つまりここは異世界ってことでいいんだよな?

 そしておれは此処に来るために死んだ、いや殺されたって表現のほうが正しいのか?

「うん、思考能力は落ちていないようだね。零士くんが考えたようなことで大筋は合っているよ。幾つか補足説明があるんだけど・・・」

「だから勝手に人の思考を読み取るなって・・・」

「おや。僕だって読み取りたくて読み取ってるわけじゃないんだ、うーん・・・どう説明したらいいんだろう?零士くんの考えてることがそのまま零士くんの頭の上に浮かんでいる・・・でどうかな?」

「なるほど。まあよくわからないけど今はそれで納得しておくよ。それより補足説明って言うのは?」


「まず零士くんの目的について、これはそこまで難しい話じゃない・・・と思うんだけど僕の代わりにこの世界、ウェルバスフの世界を見て回ってほしいんだ。僕の代理人、という形でね」

「代理人・・・ってのがなんなのかよくわかってないが続けてくれ」

「これは先程零士くんの夢にお邪魔したときには話さなかった・・・いや正確には話せなかったことなんだけど・・・」

「ちょっと待て」

 リアスの話を遮るように零士は発する。

 発したは良いのだが次の声がでない――正確には出せない――。

 なんだっ・・・この気配!?

「コラ、零士くんがびっくりしてるじゃないか。そも主に殺気を放つって何事なの?」

「申し訳ございませぬ・・・しかしリアス様の話を聞かずに己が意見を申そうとしておりましたので・・・主の不始末は儂の不始末、しっかりと躾をせねば・・・と」


 でっけー・・・俺二人分くらいはあるんじゃないか・・・?しかもなに?おれが主!?それも聞いてないしなんであの男髑髏の仮面なんて物騒なもの被ってんだよ・・・髑髏仮面の男(仮)と名付けた――名前がわからないので仮名なわけだが――あんなのを御せるのか・・・?おれが?

 いや、無理だろ!

「あれ?零士くんにはこの隠蔽魔法、破られちゃうんだね?不思議。規格外の魔力だし・・・質もか。だからということにしておこう。彼は暗殺を生業としていたんだ。当然僕が地上に居たときに刺客としてやってきたんだよ、それに気づいて一騎打ちしたら勝っちゃってさあ・・・・そこから僕の唯一の信頼できる友として一緒に色々やってきたんだよ。まあそんなわけで彼との出会いはそこまでにしておいて」

「て?」

「躾と言っても仕えるものがいきなり殺気をバラ撒くのはどうかとおもうんだけれど」

「申し訳ございませぬ」

「それは僕に対してじゃなくて零士くんに言うべき言葉じゃないかい?」

 リアスがそういうと髑髏仮面の男が近づいてくる。零士にとってそれは畏怖すべき対象としか呼べなかった。

「うぬよ、いきなりすまなかった。少しばかり気が立っていたようだ。しかし・・・本当にリアス様と魔力の色が似ておる・・・どころではないな、同じと言っても過言ではあるまい。うぬも儂に色々と言いたいことはあろうが・・・それよりもリアス様の説明が先だ」

「あぁ・・・そうだな。おれからしてみたら普通に生活してたらいきなり夢の中にリアスが出てきて死んでくれって言うんだもんな、わからないことだらけだよ。リアス、話を遮ってすまなかった。続けてくれ」


 てか・・・あれ?目が覚めたらいきなり異世界に着ていて考える暇もなかったけど、冷静に考えてみたら俺の・・・感情が・・・戻ってる?

「ああ、それについてだね。また話が少し逸れてしまうのだけれど・・・まあこれも説明するべき事柄だったからいいか。いいかい、君はあるべき肉体を失って精神体だけがこちらの世界にきている。ここまでは?」

「あぁ、大丈夫だ。なんか夢の中で言ってなかったか?あんま覚えてないけど」

「そう、けど今零士くんはきちんと肉体が存在している」

「そう言われてみれば確かにそうだな」

「その肉体・・・と呼んでいいのかわからないから、器と呼ぶことにしよう。その器は僕が代理人を見つけたときのために創っていた僕の最高傑作とも呼んで良いものだ。感情は勿論のこと五感から運動能力・・・戦闘能力までね。その全てが普通の人の肉体とは大きく異なる。だからさ、そのうち慣れると思うよ?いや、慣らさないといけないんだけれどね・・・」

 リアスは今後のことを考えてだろうか、頑張って!というような笑みを零士に向けているが、その目が全てを語っていた。

 なにが起こるのかを。


「さて・・・零士くんの器についてはそれくらいにしておいて、話を戻そうか。あぁ零士くんに話していなかったことだね。別に後ろ暗い理由があるわけじゃないよ?単純に話す時間がなかったんだ。地球の管理人の目を盗んで・・・いや盗めなかったんだけど、強引にそちらに介入したからね。詳細まで話す時間がなかったんだ。で、話を戻そうか。どうして僕はこうも説明しようとすると別のことに言ってしまうかな・・・」

「また別の方向に話が逸れそうになってるぞ」

「ハハッ・・・本当だね。で、だ。簡単に言うと今この世界は停滞している。そのために僕がこんな面倒な創造神とかいう役職に継いたわけなんだけど・・・そのせいで今この世界(ウェルバスフ)の魔物はすごーく活性化してるんだよ。まあだからそんな感じでしばらくしたらそちらの制圧と・・・被害が及んでいる村や街なんかがあったら助けてやってほしい。勿論これも先程言った代理人の仕事の一環として」


 なんだろう・・・この感情。心の底からワクワクしてる?本で読んだことしかない異世界ファンタジーの世界で暮らせるなんて!さらば地球!ありがとうリアス!

「喜んでもらえているようでなにより。と、言うわけで。今から魔法及び剣や槍なんかの戦闘訓練をしてもらうから、それが終わったらウェルバスフの世界に降りてもらおうと思っている。僕がサポートできるのはウェルバスフに降りるまでだから、そのつもりで」

「リアス様・・・奴の得物は?」

「あぁそうだった。大事なことだったね。君は本当に僕のフォローが上手い、助かるよ。零士くん、魔法の行使に必要な媒体にもなる零士くんの相棒・・・?武器はどうするかな?選べるよ?」

「んーと・・・それは何を選んでもある程度は使えるって認識で合ってるか?」

「勿論」

「悩むな・・・刀・・・とかどうだ?」

「えーっと・・・少し時間をくれるかい。刀・・・かたな・・・そんな武器ウェルバスフに存在したっけな?君は?聞いたことある?」

「中央からかなり東の国にそのような武器を使う者らがいると聞いたことが・・・生憎そちらの国は閉鎖的でして・・・儂も詳しい事情は知らぬのです」

「それだけの情報があれば十分さ。とりあえず訓練用のものを急いで用意するから少し待っててくれるかい?あ、零士くんそれと・・・精神と器がしっかりと馴染んでいるか確認するのも含めて軽く体を動かしてみてくれるかな」

「あぁ、わかった」

「じゃあ僕は少し失礼するよ」

「ちょっと待った」

「なんだい?」

「音無零士はもう死んだ。俺の名前はゼロ。これからはゼロとして二回目の生を謳歌することにする」

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