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序-003 創造神の目的?

 転移に使用した魔法陣から無事――地球の管理人に色々文句を言われたのだが、そちらの世界に協力するのだからそれくらいは見逃してくれと言って――帰還して部屋のモニターを眺める。

「うん、彼も無事役目を果たしてくれたみたいだね。まあ、自分の(あるじ)を見定めるよう、そして仕えるべき相手であれば苦しむことなく、静かに殺すように命じていたんだけれど・・・」


 僕が言ったことに首を傾げるような真似をしたのは初めてだったから少し不安だったけれど、()()魔力を見てしまえばそんな心配もなくなるだろう。

「・・・いるかい?」

「こちらに」

「君の目で直接確かめて、わかっただろう?自分の仕えるべき主が誰であるか」

「確かに、あれであれば問題ないかと・・・ですが・・・」

「訓練及び実践・・・」

「左様にございます」

 リアスの言葉を遮るように男は答える。


「君が心配するのも無理はない、それほどまでにこの世界の魔物は力をつけている」

「どちら様が原因でそのような事態になったのか・・・忘れてはいませんでしょうに」

「いやあ・・・褒められてる?」

 苦笑いしながらリアスは頭を掻く。


「これが褒め言葉に聞こえましたか?」

「けどしょうがなかったんだよ?それは君も理解しているだろう?」

「聞かされてはおりましたが・・・まさかあれほどまでの魔力が世界に溢れ出るとは・・・流石に想定外、としか言えませんな」

「僕だって想定外だったよ?ていうか想定できるはずないだろう!?あんな事態。いくら神を継ぐとはいえ・・・魔神や戦神ならまだ納得できるさ。けど創造神だよ?あんなに魔力を失うことになるとは思わなかったよ・・・」

「お言葉ですが・・・創造神とはこの世界の万物を創りし者。言わば神の中でも頂点に君臨すると言っても過言ではありませぬ・・・」


 理解(わかって)いた上でやったのでしょう?男は目で訴えかける。

「はあ・・・君には本当に隠し事ができないな。そうだよ、僕はそのリスクを承知の上で神を継いだんだ。この世界はよくもわるくも安定していた、それは同時に停滞を意味するんだ。この世界はあのままではこれ以上発展することは望めなかった・・・それを危惧した前創造神が行動を起こした、まあそんな感じだね」

「そのような危険が及ぶことを・・・なぜ儂には伝えてくれなかったのですか」

 数分の沈黙の後、リアスはフードを下ろし真剣な目で男に話しかけた。

「君が信頼できる友だったから・・・かな?」

「・・・そのような事を言われては、なにも返せぬではありませぬか」

「ハハッ・・・そういうことだよ、僕はもう地上に降りることはできない。そうなってしまったら信頼できるのは君しかいないんだ。今は・・・彼の訓練が終わるまでは()()()を行使することで、君をこちら側に安定させていられるけれどそれが終わったら本当の意味でお別れさ・・・」

 名残惜しいけれどね・・・。声に出さずにリアスは続ける。


 男は天を見上げるようにして、なにも言わない。

 それがなにを意味するのか・・・リアスも理解しているのだろう。


「・・・さて、そろそろ彼の精神体をこちらで創った肉体・・・って呼んで良いのかなこれ?まあいいや。受肉させようか。君も・・・覚悟はできているね?」

「ハッ」

 短い返事、それでいて目には確かな決意が見て取れた。

「今まで出会ってから、僕のことを側で常に支えていてくれて・・・本当にありがとう。これが君と二人で会話できる最後の時間だ・・・僕から言えるのはこれだけさ。新しい君の旅路に幸多からんことを願っているよ」

「ありっ・・・有難きお言葉っ・・・」

「別に今生の別れってワケじゃないんだから泣かないでおくれ。彼のこと・・・よろしく頼むよ」

「御意に」

 男は仮面をつけてリアスの後ろに立つ。

「さて・・・彼を・・・零士くんを呼び寄せようか。場所を移そう」







 描かれた巨大な魔法陣の側にリアスは立つ。

「汝の御霊をここに・・・新たな生命(いのち)の花を咲かせよう・・・!」

 特殊な口上を終えた後、杖をつく。

 魔法陣一帯に花が咲くと同時に一つの肉体が出現する。

「ふぅ・・・とりあえずは成功、だね。しばらくすると目を覚ますだろう。それまで少し休憩としようか・・・いやあ、しかしこの魔法どれだけの魔力を持っていくんだい?詠唱とかわざわざ面倒なことをする必要があるし・・・」

「・・・詠唱破棄できるリアス様が異常なのです」

「あーっ・・・そうだっけ?地上から去ってしばらく経つからあまり覚えてないんだよねえ。けど君の主も同じようなことがいずれできるようになると思うよ?多分詠唱短縮くらいはすぐに行えるようになるだろうし」

「・・・生憎、儂は魔法については疎いのですがそれほどまでの力を・・・?」

「全く・・・僕がこの肉体一つ創るのにどれだけの時間を費やしたのか・・・君も知っているだろうに。それだけ特殊な身体ということだよ。戦闘能力も君・・・は比較対象にならないね」

「でしょうな」

 自信を持って言い切る男。


 この場合の比較対象にならないとは男が強すぎるということになる。

「まあその辺は・・・訓練していくうちにわかるだろう、うん。とりあえずちょっと疲れたから休憩。彼が目を覚ましたら教えておくれ」

「御意」



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