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序-002 夢

なにをするのか。

簡単な話である、生きた人間をこちらの世界に呼ぶことができないならこちらから行けば良いのでは?ということだ。

「これくらいなら向こうの管理人も怒らない・・・よね?多分。文句言われたら後でなにか補填すればいいだろうし」


実体を向こうに移せない以上、彼の夢に出るしかない。

「さぁ、久しぶりの魔法でちょっと身体がダルいけどそうと決まれば早速行ってみようか」



無。

なにも感じない。

いつからだろうか、感情と呼ばれるものが消え失せてしまったのは。

「もう思い出すのも億劫だ、寝よう・・・」

早寝だけが取り柄と行っても過言でもない男はそう呟くと眠りにつく。



「やあ、はじめまして。音無零士くん」

純白のフードを被った男?中性的だから断定はできないけど、が話しかけてきた。

「え・・・夢・・・か?」

「うん、君が言っていることは正しいよ。君の夢にちょっとお邪魔させてもらったのさ」

「夢にお邪魔って・・・理解が追いつかないんだが・・・」

こういうのを明晰夢っていうのか?夢を夢だと理解しているから自由に行動できる的なあれ。

「そういえば自己紹介がまだだったね。僕の名前はリアス。うーん・・・君にどう説明すれば納得してもらえるかな・・・あ、異世界の住人って言えばわかりやすいかな?最近どうやら地球でも流行っているらしいじゃないか、異世界転生?とやらだったかい?」

「あ、あぁ・・・流行っている」

寧ろ大好物です、と口にしたかったがしないことにした。

「なら話は早いね、単刀直入に聞こう・・・零士くん、君異世界に興味がある・・・というか好きなんだろう?こちらの世界に来ないかい?」


俺の心が読めるのか!?読心術的なあれか!?

「自分で言うのもなんなんだけれど、僕はこうみえて高名な魔法使いで、剣士だったんだよ。地球でこの手のものに精通している君にだと魔法剣士、と言ったほうが馴染み深いかな?だからそれくらいのことはお手の物さ」

「うん、なるほど。リアスさんの言ってることはよくわからないけどわかった。でも疑問があるんだけど聞いても良いか?」

「リアス、でいいよ。それで、疑問とやらはなんだい?」


「まず、なんで接触・・・って表現して良いのかわからないけど・・・してきたのが俺なんだ?」

「そう思うのも仕方がないかもね。この地球?には魔法というものが存在しないんだろう?」

「うん、遥か昔には存在していたのかもしれないけれど俺が生きている今現在でいうとない」

「それなのにだ・・・なぜか零士くんは口では言い表せないほどの魔力を持っていてね?そして魔力の色・・・質と表現したほうが正しいのかな?が僕にとても似ているんだ。理解しろ、とは言わないよ。けれどすごくそれは僕にとって都合がいい・・・いや待ち望んでいた存在なんだ」

「待ち望んでいた?俺を?」

「そう、詳しいことはこちらにくることが確定してから話すことになるんだけど・・・」

「けど俺は生きてるぞ?王道な流れだと死者の魂・・・と表現したほうがいいのかはわからないけど、そういうのをそっちの世界に送るって流れなんじゃないのか?」

「正解、補足するなら一応君の身体ごと転移させることも可能なんだけどね?如何せん零士くんの肉体は鍛錬されたものでもないし・・・ろくな訓練は勿論、模擬戦だってしたことがない。合ってる?」

「うん・・・」

「じゃあ説明を続けるよ。となるとだよ?その魔力量と魔力の色を存分に使いこなせるような肉体・・・と呼べるかはわからないけれどそれを受け止められる器があったほうがいいとは思わないかい?」

「それは確かに・・・宝の持ち腐れだしな」

「だから可能であれば・・・君には死んでもらいたいんだ」


こいつなに言ってんだ?

「いや、すぐに受け入れろとは言わない。どちらを選ぶのも零士くんの自由だ。答えを出すのもすぐじゃなくてもいいよ」

「ちょっと現状を整理するために時間を貰ってもいいか?」

「勿論」



それからお互い無言の時間が数分、数十分・・・と経ち、口を開いたのは零士だった。

「えーっと・・・リアス?だっけ、自分の中で決断した」

「なら、答えを今聞かせてもらっても?」

「あぁ、おれ死ぬよ。高校卒業してすぐ一人暮らし始めたし、この世界になんの未練もないからな」

「そうか・・・その答えを聞けてよかったよ。君の部屋に僕の元部下がいるからね。すぐにでも死ぬことになるだろう。これが最後だよ、本当に、本当にもうこの世界にはなんの未練もないんだね?」

「あぁ、俺の答えは変わらない」

「わかったよ。多分零士くんが死ぬとすぐこの夢も醒める・・・というか見れなくなるから一旦のお別れだね。すぐ会えるから心配ないよ。ではまた後ほど」


そうリアスが告げるとリアスの足元に巨大な魔法陣が浮かび上がるのを見て、俺の意識も遠のいていくのであった・・・。

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