序-001 始まり
もうちょっと話を進めて落ち着いたら主人公の生い立ちに関して加筆修正しようと思っています。
今回も色々と読んでいたら創作意欲が少し湧いたので書いてみようと思いました。
完全に趣味なのでどれだけ続くはわかりませんがお付き合いいただけると幸いです。
「やっと・・・見つけた・・・僕の代行者」
モニターが何枚も並んでいる部屋で男は呟く。
この部屋に入ってから何十年、いや何百年が経過しただろうか。
「ねえねえ」
「はい、なんでしょう?」
先程まではこの男しかいなかったはずの部屋に女が突如現れる。
「僕がこの部屋に閉じこもらざるを得なくなってからどれくらいの月日が経ったかわかるかい」
「そうですね・・・詳しくは数えていませんが前回の人魔大戦から200年は経過したかと」
「そっか、200年か・・・」
200年という年月がこの男にとって短いのか、長いのか。
それはこの男のみぞ知る。
「それでリアス様、ようやく見つけたのですか?」
女は聞く。
どうやらこの部屋で呟いていた男の名はリアスというらしい。
「うん、まさか地球?だっけ。まあいいや、あんなところで見つかるとは思わなかったよ」
ハハッと声に出して笑って入るがその顔は全くと言っていいほど変わってはいなかった。
「むこうの管理人に声をかけてみて正解でしたね。代償は決して安くはありませんでしたが・・・」
代償。
それはなんなのか、何を支払うのか知っている者は多くない。
リアスと呼ばれた男とそれに仕える極一部の者しか知らないのだから。
「いやあ、向こうも困ってたみたいだしね?あれくらいのことなら寧ろ安く済んだ、と思ってもいいんじゃないかな?」
「ですが・・・」
「いいんだよ。力がなくなってきたとはいえ、あれくらいのことなら対して魔力も使わなくて済むしね」
「リアス様がそう仰るのでしたら・・・」
主人にここまで言われてしまっては女としてもこれ以上の追撃はできない、と口を閉じる。
「うーん・・・しかし困ったなぁ」
頭を掻きながらリアスと呼ばれた男は喋る。
「なにか問題でも?」
「うん、すごくすごーく大きな問題があるんだよ・・・」
「聞いてもよろしいので?」
「ダメだったら君の前で困った素振りを見せると思うかい?」
それは確かに・・・と誰にも聞こえないような小さな声で女は呟く。
数分の沈黙を破ったのはリアスと呼ばれた男だった。
「いや、君も知っていると思うんだけどね?僕がこちらに呼び寄せられる魂は死者の物に限られてくる。これはいいね?」
「はい」
「やっとの思いで見つけたのはいいものの・・・その対象は生きているんだよ」
いやーどうしたものか、とリアスは続ける。
「それは・・・向こうの管理人に相談してみては・・・」
「これ以上向こうにお願いしたらなにを代償に持っていかれるかわからないからね・・・」
ダメなのでしょうか。と進言しようとする女の声を遮るようにリアスは口にする。
「確かに・・・そうですね、ただでさえ力が失われてきているリアス様です。これ以上そのお身体になにかあっては・・・」
「うん、そうなんだよ。これで僕がまだ若ければどうにでもなったんだけどねえ・・・ふーむ、困った。非常に困った・・・ともあれ一度下がってもらって構わないよ」
「畏まりました」
さて、どうしたものかと一人になった部屋でリアスは考える。
僕が向こうの世界に一度行く?却下、そんなことしたら他の神になにを言われるかわかったもんじゃない。
向こうに行くのが不可能ならどうすればいいか。
「あれ?もしかしていけるんじゃない?発想の転換ってのはやっぱりすごいね。こうなったら早速行動だ」
そうリアスが発すると同時に巨大な魔法陣が部屋の中央に浮かび上がる。