新生活への1歩
5話です。
そんな訳で100年後の世界生活スタートだ!
何か「1ヶ月間1万円で生活」みたいなノリが混ざっている気がする。ナレーションとか入らないかなー?
さて、最初は拠点だ。
人間生きていくには安らぎの拠点が必要なのだ。
ホロデバイスの生徒手帳項目の中の個人情報ファイルに、この時代の蓮田未結那の家の住所が書いてあった。
この住所の表示をタップするとマップのアプリケーションが勝手に立ち上がりナビゲーションモードになった。
ホロデバイスがめちゃくちゃ便利。スマホと比べ物にならないくらい優秀。
ともかく、マップによると今私がいるカフェから徒歩15分のところらしい。
意外と近くだ。よし、行こう。
カフェを出てナビゲーションの指示に従いながら歩道を歩く。
さっきから自分の横の車道に車が走っているが全然音がしない。100年も経過しているから流石に全て電気自動車にでもなったのだろうか。
歩道の舗装もキレイだ。アスファルトが滑らかな素材になっている気がする。
ガードレールなんかホログラフィックだ。これでは全然ガードにならないじゃん、とか思ったがもしかしたら全ての車が自動運転で事故が起きないとかなのかな?
だとしたら、人間が車道と歩道を区別出来るように目印程度のガードレールで良いのか。
さぁ、ナビによるとあと5分で家に着くらしい。
ところで家に着くのは良いが鍵とかどーすれば良いんだろう?
スクールバッグの中に入っている事を期待して少し探してみたが鍵らしき物は見当たらなかった。
家に誰か居るのかな?お母さんとか?
いろいろと考えながら歩き始めて15分。ナビ曰く家、に着いた。アパートだ。でもこのアパート、凄くキレイ。イメージとしてはビジネスホテルみたいな感じ。因みにナビが最後までしっかりと自分の家のドアの前まで教えてくれたから自分の部屋が分からないということはない。
頼む、ドアよ、開いてくれっ!と思いながらドアの取っ手に手をかけて引っ張る。すると、カチャンッ!と明らかに鍵が施錠されたと思われる金属音が響く。
鍵が開くと同時に左腕のホロデバイスに「施錠」の2文字がポップアップする。
オートロックは聞いたことあるがオートオープンとは珍しい。この時代、それが標準なのか?
取り敢えず、ドアが開いた。
家の住人がドアを開けたらとる行動は1つだけだろう。
「……ただいま……?」
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。
とうとう家に着きました。