私の現状は?
3話です。
1歩前進
「さて、ではウチからも質問ー。何で横断歩道の真ん中に居たの?」
「えっと……信号が青のうちに渡りそびれちゃて……?」
私が知りたいよ、そんなこと!
取り敢えず適当にあり得そうな事を言ってみたが、自分で言っていながらも疑問形になってしまった。
こんな返事で誤魔化せるのか?
「あー、成る程ねー。そういう事だったのかー。」
誤魔化せた!?莉奈って意外と天然な感じの子だったのか?
まぁこの際その方が都合良いか。
そんな事を思っていると不意に無機質な通知音が聞こえた。
「あ、ウチの端末だ。ちょっとごめん!」
そう言って莉奈は店の外に出て言った。成る程、恐らく電話なのだろう。それにしても腕時計型のホロデバイスで電話も出来るとなると凄く不思議な感じがする。
さて、これからこの100年後の世界で何をしよう。
ていうか、そういえば今の私ってどういう存在なんだろう?良く小説とかにある転生みたいなものなのか。それとも誰かと意識が入れ替わったみたいなやつかな?
などと考えていたら莉奈が帰って来た。
「ごめん!急用で行かないと行けなくなった!何かあったらここに連絡して!」
「え?あ、はい。ありがとう?」
そう言い残して椅子に置いてあったカバンを持って去っていった。あと、連絡先が書かれた電子ペーパーディスプレイを残して。
取り敢えず莉奈が行ってしまったのでこの状況について整理していこう。
まず、私は何故か100年後の世界に来て横断歩道の真ん中に立っていた。そして宮月 莉奈と名乗る私と同じ高校1年生と出会った。
ん?そういえば莉奈はどうして私に声をかけることが出来た?あの時車が物凄い速度で目の前を走っていた気が……。信号が変わった?それならば私に声をかける事は可能だがそもそも声をかける必要があったのか?
これに関しては今考えても仕方がない。
次に私の持ち物だが、制服のスカートのポケットに私の使っているスマホが入っていた。
これは2019年で授業を受けていた時と同じだ。しかし電源が入らない。
そして色々ありすぎて触れられなかったが実はスクールバッグを肩にかけていた。これには私もふと気が付いて驚いた。
中には教科者、ノート、電子辞書。何の変哲もない普通の高校生の荷物だ。しかし1つだけ、恐らくこの時代のスマホに値すると思われるホロデバイスが入っていた。何故、腕につけていなかったのかはこの際置いておき、これは美味しい収穫だ。これならさっき莉奈がやっていたように生徒手帳などを出して今の私の身元が分かるかもしれない。
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。
まだまだ続きます。
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