〜プロローグ〜
「空からお金降ってこんかな―」愛犬タロウの散歩中、空を仰いで溜め息を吐き出すように呟いた。
私は、43歳。こんな歳でこんな呟きを吐き出すことになるなんて…
私は、たぶんツイてない女だ。いや、祟られている。自分のせいじゃない、何かのせいにしたいからそう言っている。でも、本当は人生の選択肢を多々間違えてきた愚かな女だ。
「女の敵は女」なんていうけど、私は女の敵は男だと思っている。甲斐性のない男が、女を不幸にする。「幸せにするよ」なんて守れもしない薄っぺらな約束をして、結婚後に「ハイ、守れませんでしたぁ」と開き直る奴を多勢知っている。そういう男を見抜けなかった?見る目が無かった?冗談じゃない!責められる筋合いなんかない。それだけ、その時の女は被害を受けている。口ばっかりで、好きな女の一人幸せに出来ない男なんていらない。
今の私は、こんな可愛げのない考え方だけど、昔は違った。結婚が私を変えた。変わりたくて変わったんじゃない。でも、結婚を選択したのも、その男性を選んだのも私だ。
私は3度結婚した女だ。今回の結婚を「三度目の正直」にするのか「二度あることは三度ある」にするのかは自分次第だ。ただ、もう自分の選択や決断に自信が持てない。道に迷ってばかりだ。誰も私を助けてくれない。悲壮感たっぷりのオーラを内に押し込めて毎日生活している。どの瞬間が最後の藁になるのか自分でもヒヤヒヤする。
いつから毎日に色が無くなったんだろう。いま見える世界は灰色だ。
最近、「何か夢はありますか?」と聞かれた。夢?そんな夢なんてない。私が黙っていると、「じゃあ、好きなことは何ですか?やってみたいことは?」それもない。夢とか希望とか思い描いたって、どうせ叶わない。そうやって長い年月フタをしてきた。好きなこと?昔はあったかもしれないけど思い出せない。特技だってないし、趣味すらない。
私って空っぽだ。何もないんだ。今まで何をしてきたんだろう?何のために頑張っていたんだろう?なんか悲しくなったし、惨めになった。私が私のことを見失っている。人生変えたいって思った。自分を変えたいって思った。変わりたいって思った。
今ないモノを手に入れて、無くしたモノは取り戻したい。