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7.一握りの希望《ギャンブル・カード》

タイトル変更しました。




“トゥルルルルルッーーーーーー、カシャンッ!スペードの!5ッ!!!”


どこからかスロットマシンのような音が響き、秋人のカードから煙が吹き出る。


そして出てきたのは一メートルほどの真っ赤な棒だった。


クルンクルン、と手首を使って軽く回す。

棒は何の抵抗もなく秋人の身体の周囲を回る。

リードファルデはただ呆然とその姿を見ているしかなかった。


(込められている魔力量が……尋常ではない!)


先ほどの秋人が行っていた“闘鬼の業”も随分と濃密な魔力が身体中を奔流していたが、今秋人が顕現させたものはそれの比ではない。


(まさしく“勇者”と呼ぶに相応しい力だ……)


ーーー危険だ。


今までローズヴェルデの指示だからという理由でただ何となく秋人を抹殺しようとしていたリードファルデ。

しかし、ここで初めて彼の異常性に気付いた。


そして自身から発される凄まじいほどの生存本能を感じた。


(こんな人間を、生かしておくわけにはいかない!)


味方だったらどれほど頼もしいか。

そう思うリードファルデだったが、既に彼女は秋人に攻撃を仕掛け秋人に対して敵対行為を示してしまっている。


今はレベル1でまだリードファルデでも手に負えるが、もし秋人がこの場を生き残り自身に報復しに来てしまったら……。


そう考えたらリードファルデはもう冷静ではいられない。


(はやくっ!ーーーはやく、殺さなければッ!!!)


亡き者にしなければ……。


リードファルデは危機感に急かされるような形で秋人に向かって駆け出す。


「ッ!?」


秋人は自身の異能『一握りの希望(ギャンブル・カード)』を顕現させ、僅かに上がった身体能力によってリードファルデの強襲を受ける。


ガキンッ!


大剣と棒が激突し、甲高い音を奏でる。

秋人はリードファルデの大剣を軽く受け流すとリードファルデの頭部に向けて棒を振る。

それを寸でのところで躱すリードファルデ。


「『三閃』ッ!」


「ッ゛アッ!?」


躱した勢いそのまま剣を三閃。

反応しきれなかった秋人は身体に三本の切り傷が生まれるが、身体中に展開しているカルマによって致命傷は避けた。


秋人は『一握りの希望(ギャンブル・カード)』によって付与されたスペードの()属性を棒に付与。

そしてこの棒自身の能力を発動。


「『伸縮自在の棒撃(テレスコープ・ロッド)』!」


その棒の能力は、俗に言う如意棒というやつだ。

伸縮が自在にできる棒を秋人は振り回し、E室の壁を突き壊す。

しかし肝心のリードファルデには全く当たっていない。


いきなりの攻撃に一瞬怯むリードファルデだったが、秋人の攻撃が当たっていないのを感じて嘲笑する。


「ふふっ、どうしたアキト殿!その棒の威力は大層なものだが、()に当てられなければ意味がないぞ!?」


そう言って口に笑みを浮かべるリードファルデ。

さぞや悔しい表情をするだろう、と。


そんなリードファルデの予想に反するように秋人は笑っていた。


「ははっ、俺は別に今の状態でテメェに勝てると思うほど自惚れてなんかねぇよ!」


「何……?」


「目的は壁を壊すことだった、ってことさ!『伸縮自在の棒撃(テレスコープ・ロッド)』!」


もう一度そう唱えると、伸びきって先が見えなくなった赤い棒が凄まじい勢いで縮んでいく。

どうやら縮む基点は棒の先の方であるらしく、秋人は縮む棒に引っ張られる形で壊れた壁を越えていく。


(何を考えているんだ!奴は!?)


見逃しては堪らないとばかりに秋人の後を追うリードファルデ。

リードファルデが秋人に追いついた時には、秋人は勇者召喚が行われた場所、召喚の間にいた。

いや正確には勇者召喚の魔法陣の上にいた、といった感じか。


「何をしている!?」


リードファルデが怒鳴る。

秋人はその声に振り向き、リードファルデに向けて説明する。


「いやさ〜、この魔法陣、一体どうやって使ってんのかな?って解析してたんだよ」


「そんなこと出来るわけなかろう!それは私たち王国の中でもトップクラスの魔導師たちが開発したーーー」


魔法陣なんだぞ!


と、そう繋げようとした言葉は、秋人の魔法発現によって告げられることはなかった。

秋人は魔法陣にカルマを送り、微調整をする。


「え?でも、なんかできちゃったみたいだし?」


「な、な、なななな何故……」


「さあねぇ、カルマ量じゃないかな?」


「そ、そんなことで起動できるはずが……」


確かにリードファルデの言う通り、実際は勇者召喚の魔法は完全には発動していない。

何故ならこの魔法陣を使ってできることは精々がこの世界内のどこかにランダムで転移する、というだけなのだから。


(本当ならこの魔法陣の仕組みから調べたいところだけど……そうも言ってられないしな)


リードファルデに斬りかかられる前にちゃっちゃとトンズラしよう。


そう考えた秋人はすぐさま勇者召喚による転移魔法を起動。

その光景に呆然としていたリードファルデだったが、このままでは秋人を取り逃がしてしまうと考えてすかさず剣を振るったが、残念ながら彼女の剣は中空を斬るだけ。


「間に合わなかった、か……」


意気消沈としているリードファルデを尻目に秋人は、召喚の間から転移した。






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