4.リードファルデ・ディレクシオン
敬語口調って何気に書くの難しいですね。
……ちょっと、というかかなり変なところあるけど勘弁してください。
ゴールデンウイークなので、明日も書く予定です。
よかったらみてください。
E室に行けと言われた秋人。
彼は侍女の案内で一人、E室へと向かった。
通常、人と言うのは突然知らない場所に連れてこられた時、他の人と違う行動をさせられることに酷く不安を感じてしまうことが多いのだが、秋人はそんな不安など微塵も感じさせない足取りで侍女の後をついて行っている。
(うわぁ……あのフリフリのメイド服、超カワイイぃ!)
というか、秋人は侍女のお尻に夢中で現状に疑問すら抱いていない状態であった。
(な、何か悪寒が……ッ?)
あんまりにも尻を見つめすぎて侍女を怯えさせるレベルだ。
秋人は侍女に勘付かれないようにすぐに視線を外すと、退屈を紛らわすために侍女と対話をしてみることにした。
「いやー、それにしても結構広いですね〜、この城」
「……」
「……壁も真っ白で綺麗だし、君みたいな可愛い娘もたくさんいるし」
「……」
「…………ゆ、夢のような場所だなぁ〜」
「……」
警戒しているのか、侍女は秋人の言葉にピクリとも反応しない。
そんな侍女の素っ気ない態度に、早くも秋人は心が折れそうだった。
(え〜、俺なんかした?いや、確かに能力を隠蔽しようとは少し考えたけどさ……。別にここまで無視されるようなことでもないと思うんだけど?)
orzの体勢になってブツブツと呟く秋人。
元々秋人は、コミュニケーション能力が著しくとはいかなくともかなり欠如しているのだ。
初対面の人と話すのも結構な苦痛を感じるのに、更に相手は秋人に対して拒絶に近い対応をしているのだ。
コミュ障からすれば堪ったものではないだろう。
それ故に、秋人がorzするのも仕方がないと言えば仕方がないのだが……。
そんな秋人の姿を見てしまった侍女はと言うと。
(ひっ!何、あの人!?いきなり地面に話しかけて……こ、怖いッ!)
相当秋人のことを気味悪がっていた。
会った当初からドンドン秋人への好感度がかこうしていっている。
(は、速く案内を終わらせよう!)
侍女はそう決意するとorzしている秋人には構わずE室へと歩いて行った。
心なしか少し最初よりも侍女の歩くスピードが上がっていた。
◆
「こ、ここがE室になります。ここでお待ちになるように、と姫からの仰せです。……私はここで、失礼しますッ!」
「あ、ありがーーー」
ーーーバンッ!
一刻も早く秋人から離れたかった侍女は、秋人がお礼を言うよりも速くに扉を閉め去って行った。
(そ、そんなに俺、変だったかな……?)
秋人はしばらくの間呆然とした顔つきで扉の方を見つめていたものの、考えていても仕方がないと思い、E室の室内を見て回ることにした。
(さっきの部屋と大差ないな……)
E室は、先ほど秋人達が滞在していた部屋、通称『召喚の間』と造りはほとんど変わらない。
ただ、地面にあった大きな魔法陣があるかないかぐらいだ。
(多分、あの変な紋様が俺たちを召喚した異能の正体だとは思うんだけど……。今一あの紋様の意味が掴めないな)
E室の部屋の中は殺風景で、廊下に並べてあった高そうな壺どころか窓すらない部屋であるため、ぶっちゃけたところ秋人は暇を持て余していた。
そのため、何をさせられるかもわからない秋人はとりあえずは現状の把握を放棄し、自分たちがこの世界に来ることになった原因であるあの魔法陣の正体について調べることにした。
(いきなり過ぎて抵抗できなかったけど、アレは多分俺たちの使っている異能と大差ない、と思う。……業の気配もしたし。ということは、転移系の異能を使ったのかな……?)
実を言うと秋人は、勇者召喚をした魔法陣のカラクリについてはある程度理解している。
と言うのも、その昔というか割と最近彼は小説の影響を受けて異世界トリップを試みたことがあるからだ。
退屈な学校生活に、何の変わり映えもしない刺激のない日常。
そんな現状に嫌気がさした秋人は自分の異能を使って異世界へ行こう、と。
もしかしたら小説で書いてあったような楽しい生活があるかもしれない。
そんな一縷の希望に縋ってやってみたものの、彼の異世界トリップ計画は失敗に終わる。
何故なら……。
(でも、それだけじゃあ“壁”は越えられないよな?)
世界間の境界に阻まれたからだ。
最初、秋人は自信の転移失敗は異能がしっかりと出来上がっていないからだ、と結論付けていた。
しかし、何度も何度も試行していくうちに自分の異能が失敗していないことに気付いた。
では何故異世界に行けないのか……?
それこそが先ほど秋人が言った、いや考えていた“壁”というものである。
どうしてあるのかは秋人ですら解明できていないが、存在していることは明らかである。
秋人が行おうとしている異世界トリップを阻む壁のようなものが世界と世界の境界線上にあることを……。
こうして、この壁によって阻まれているが故に秋人はいつまで経っても地球から抜け出すことが出来なかった。
しかし、状況は変わった。
秋人は勇者召喚という異能の力によって異世界の地を踏むことに成功した。
(もしかして俺が試行錯誤しているうちに、境界線が緩んだのか?)
そう考えてみるも、すぐにあり得ないことに思い至る。
(だったら今、この瞬間に俺が地球に帰れてないとおかしいもんな……)
秋人は地面に手を当て、何度か日本への転移を試みているものの、成功する様子はない。
このことから世界間にある境界線が壊れている、もしくは緩んでいるという説はなくなった。
(じゃあなんで成功した?この国には“壁”を越える何らかの手段を持ち合わせている、ってことなんだろ?でも、その割には次元を壊した痕跡が……)
うーんと唸り続けて考えるが、どうも思考がまとまらない。
(この世界の知識が足りないな……圧倒的に)
故にまずは情報収集をすべきと考えた秋人が、地面から目を離すと先ほどまで誰一人として存在しなかった室内に一人、西洋風の物々しい甲冑を着た女性が立っていた。
カシャンッ!
女は、金属質な音を鳴らして一歩前に進みでると、騎士の作法の様なものを披露して名乗りをあげる。
「お初にお目にかかる!我が名は、リードファルデ・ディレクシオン!レアール王国近影騎士団、団長を務める者である!」
「へ?」
女のいきなりな自己紹介に戸惑う秋人。
そんな秋人の様子にはお構い無しに女、リードファルデは話しを続ける。
「御身がかの姫より伝わりしお方、アキト・ナナエ殿と愚考致すがどうか!?」
「え?」
(言葉が堅苦し過ぎて何言ってるか、意味わかんないんだが……?)
リードファルデの丁寧な口調に、浅学な秋人は今一相手の言いたいことを理解できない。
(うーんと?多分だけど、俺が七重秋人という人物であっていますか?という問いなのか?)
多分だけどこうだろう、と勝手に判断した秋人は、とりあえずリードファルデの問いに是で返す。
「えーとですね、俺がアキト・ナナエという人物かどうかについてなら、間違ってないですよ」
「ふむ」
「俺です。……俺がアキト・ナナエです」
「そうか……」
秋人がリードファルデの問いに肯定の言葉で返すと、リードファルデは少し残念そうな、それでいて仕方がないと言わんばかりの諦観の念を感じさせる表情になった。
(どうしたんだ……?)
そんなリードファルデの様子に疑問を抱く秋人。
しかしその答えはすぐに当人からきた。
「ふむ、中々に私の好みの顔つきであるが……致し方ない。私は姫のご命令により其方の処理を任された故……」
(処理!?それってつまり……)
「うむ、平たく言うならば暗殺、というやつだな。すまぬな若人よ。私としては何の怨恨も其方に持ち合わせてはおらんがーーー」
(なっ!?)
「ーーー大人しく、死んでくれ」
そう言って、リードファルデは身の丈ほどある大剣を秋人に向かって振り下ろしてきた。
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次回は騎士団長と秋人君のバトルですね。




