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24.束縛する鎖撃《バインド・チェイン》

すいません、リンテウス戦は後一話かかります。

次話は、3日後です。



(狼狽えている場合ではない。一刻も早く、岩を防ぐ手立てをーーー)


リンテウスが思考を停止していたのは僅か1秒。

瞬時に自身の状況を把握し、魔法を行使する。


「ーーー『火の盾(ファイヤ・シールド)』!」


『ここでウィリディス選手が魔法を行使!これは、先ほどのものとは違い通常の火魔法ですね?』


『……おそらく先ほどの七罪魔法の行使で、彼の魔力は8割近くを持ってかれてしまっているわ。ここは魔力を節約する意味も込めて、下級魔法でやり過ごすのが無難ね』


『な、なるほどー』


(くっ……!ヴェーチェルの奴ッ!好き勝手言いやがって……)


己の宿敵、アイレの物言いに癪に触るものがあったものも、今はそんな抗議ができるほどの状況にない。

火でできた小さな盾を頭上に出現させ、リンテウスは落石を防ぐ。


「ふぅ〜……お、終わったか………」


数10秒後。

落石が終わったことを確認したリンテウスは、恐る恐る魔法を解除する。

空はいつものように綺麗な快晴を見せており、どこにも岩石は見つからない。


「なんとか、なったか……」


ほっと一息。

ここまで試合が始まってからというもの、ずっと危機が続いていたリンテウスは、ようやく安心できる状態に持ってこれたことに、安堵のため息を吐く。


(とりあえずは、立て直すことができた。……あとは、魔族の驚異的な身体能力を使ってごり押しでいけばーーー)


勝てる、はず。

と、そう思考したところで、あの効果音が響き渡った。


『トゥルルルルルッッッ!!!カシャンッ!ーーーハートの!3!!!』


「ーーーこれは!?」


聞こえた瞬間、全身の毛が逆立つのを感じる。

先ほどの落石。

あれほどの規模の能力をもう一度行使でもされれば、今度こそ自分はひとたまりも無いのではないかーーー?


と、ある種の不安に襲われるリンテウス。


『おっとぉー!?ここでまたしてもアキト選手が恩恵(ギフト)を使用した模様!?今度はどんな能力なんでしょうか、ヴェーチェル姫!?』


『さあ?今度のやつも私の知らないやつだわ』


『……そうですか』


(チッーーー!ったく、使えないな、あの小娘は!)


もしや秋人の能力を何か教えてくれるのではないか?

と、そんな淡い期待を抱いていたリンテウスだったが、アイレが何も知らないとわかると、あからさまにがっかりしてしまった。


(仕方がないーーー。ここまできたら術者本人を攻撃するより他あるまい。術者はーーー!?)


魔族のプライド的に、術者本人を攻撃するというのは本当はあまり取りたくない手段ではあるのだが……。

今やリンテウスにはそんなことを口にしてられるほどの余裕がなくなってしまっている。

今はとにかく奴を倒すことが最優先!

と、ばかりにあたりを見渡して見て、リンテウスは初めて秋人の思惑に気付いた。


(まさか……あの岩石は、あくまで遮蔽物を作り出すためだけのオブジェに過ぎなかったと言うのかーーーッ!?)


当初、決闘場はリングとして全く遮蔽物のないステータス(実力)だけがものを言うステージであったが……。

秋人の岩石によって生み出されたこれら遮蔽物は、見事にフィールド内の死角を作るのに一役買っており、少なくともこの決闘が単純な力比べの勝負ではなくなったことを意味している。


「くそっ!一杯食わされたか!?」


血眼になって探すリンテウス。

しかし、秋人は先ほど隠鬼の業を使用し、完全に隠蔽の体勢に入っている。

加えて、先ほどから実況と観客席からの煩い声が響くため、秋人が移動に多少の足音を立ててしまっても、リカバリーが取れる状態なのだ。


「おい!コソコソしていないで出てきたらどうだ!人族ぅううう!?」


「ーーー『束縛する鎖撃(バインド・チェイン)』!」


痺れを切らしたリンテウスが喚き散らした瞬間、彼の怒気に己の殺気を隠した秋人が岩陰から姿を現し、リンテウスの左腕目掛けて鎖を飛ばす。


「ーーーチッ!」


秋人の試みは見事に成功。

リンテウスの左腕にがっちりと嵌り、取れないようにクルクルと何往復もして固定する。


「ふんっ、こんな鎖程度、この我に千切れないわけがーーーッ!?」


リンテウスの口上虚しく、彼の体を拘束していた鎖はすっと消えていく。

その代わりに、服の上からはっきりと分かるほどくっきりと浮かび上がった黒い鎖の絵が浮かび上がる。


「なんだ……これは?」


「食らってみての、お楽しみですよ?『束縛する鎖撃(バインド・チェイン)』」


「は?何を言ってーーー!?」


効果は絶大だった。

秋人がもう一度『束縛する鎖撃(バインド・チェイン)』と言うと同時。

鎖の文様が浮かび上がったリンテウスの左腕は、ダランと垂れ下がり力が全く入らなくなった。


「き、貴様ぁああ!一体、我に何をした!?」


「……ふはっ!内緒に決まってんだろ?言うわけないじゃん!」


「くっ!」


カードナンバー、3。

束縛する鎖撃(バインド・チェイン)

敵の体に鎖を巻きつけた状態で技名を公言すると、捉えていた相手の部位の機能を完全に停止させる能力。

全く動かすことが叶わないのは勿論の事、能力が発動している間はその部位はステータスも最弱に低下してしまう。

秋人の『一握りの希望(ギャンブル・カード)』の中でもとりわけ性格が悪い異能だと、超能力者仲間内でも揶揄されるほどウザい能力。

ちなみにこの能力は、一度発動すると術者の意思に関わらず最低でも30分はこのままである。


「よぉぉし、ようやく条件が揃ってきたみたいじゃないか?」


「……?何を言ってーーー」


「これからが最終ラウンドってことだよ、覚えとけよリンテウス!?」


こうしてリンテウスに向かってさらなる鎖が向けられた。





ブクマ、ポイント、ありがとうございます!

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