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23.七罪魔法《憤怒》

リンテウス戦は前回の話も含めて三話構成にすることにしました。

次の話で、リンテウス戦は終了の予定です。

次話は3日後に投稿します。



『おおっーと!?アキト選手がコインを弾いたと思ったら!?なんと、突如として巨大な岩がぁあああ!?いや、むしろあれは岩と呼んで良いのでしょうか!少なくとも、わたしには隕石のように思えます!』


実況の声が鳴り響く。

秋人の異能によって生み出された巨岩は、多くの観客と、そしてリンテウスの度肝を抜いた。


「ーーーくっ、なんだ、アレは!?」


堪らず呻くリンテウス。

冷や汗を額から流している彼の姿は学院では相当にレアな光景だったようで、観客たちも何か得した気分を感じた。


『あれは……』


『ヴェーチェル姫!何かあれについてご存知なんですか!?』


『わからないわ……だって、見たことないんだもの』


『そ、そうですかー』


『ただ……』


『ただ?』


『ちゃんと幻夢結界の効果範囲内に入ってるのかしら?、と心配になっただけよ』


『な、なるほどー、それは確かに……』


言われてみればそうだ。

なんせあの岩は幻夢結界を突き抜けて遥か上空でできた物質だ。

決闘場の天井はコロシアムみたいに吹きさらしになっているから、壊れる心配はないが……。

幻夢結界内で出来ていない物に対して幻夢結界の効果が通用するかどうかは疑問視するべきところが出てきてしまう。


「チッ……!」


リンテウスもその考えに思い当たったのか、顔を歪めながら全身から魔力を吹き出した。


『も、もしかしてあれはーーー』


『ええ、七罪魔法ね』


リンテウスの纏う空気の変化に敏感に反応した実況席の二人は、思わず息を飲む。

尚、秋人は何が始まるんだろう?と、ポカンと口を開けているだけだった。


(ああいう超遠距離型の攻撃は、術者本人を倒すのがセオリーだが……我は、先にあいつへの先制を約束させてしまっている。ならば、我はあの攻撃を真正面から打ち破る他ないのだがーーー)


ーーー果たして、我にそれができるだろうか?


普段は自信満々なリンテウスにしてはかなり弱気な思考だった。

というのも、なまじ実力が高いリンテウスにはわかってしまうのだ。

あの巨岩に込められた信じられない量の魔力を。

それ故に、あれがただの岩の塊ではないことに気付いてしまっている。


(やはり、七罪魔法を使うしかないかッ……)


もともとリンテウスは近接戦闘を得意とする魔族だ。

もちろん遠距離攻撃も多少嗜んではいるが……。

多少のレベルでは、あの巨岩を破壊するには至らない。

なれば、自身の手札として残されているのは、魔族にとっての奥義とも言える魔法。

七罪魔法しかないのである。


(人族風情にあの魔法を使うなどと言うのは屈辱でしかないがッ)


だが、仕方あるまい。


そう溜息を吐く。

現状彼の取れる行動は、この一択なのだ。

自分を納得させるように呟くことで、彼は思考を切り替えた。


「“我、咎人の焔を受けし者ーーー”」


(くっ、魔力がーーー!)


『ついつに、ついに!始めましたね、詠唱を!』


『まぁ、あの魔法は詠唱が長いから……今から、しないともう間に合わないわよね』


『んー、ですがその割には随分と悩んでいらっしゃいましたねー?』


『七罪魔法は、魔力を相当喰うのよ……。私だってできれば使いたくないわ』


『へぇー、ということは、使わざるを得ないほど追い詰められている、ということですか!?』


『まぁ……そうなる、かな?』


『おぉ……』


あのリンテウスが追い詰められている。

その事実をアイレから聞いたニーファと、その他の観客たちは興奮をあらわにする。

そして、すると同時にそれを成し遂げている人族ーーーつまりは、秋人に関心を集める。

その異常さに、畏怖の念を込めてーーー


「“我、黒焔を纏て憤怒の主と成らんーーー”」


殊更にゆっくりと……。

巨岩が頭上に近づいていることを気にせずに、リンテウスは集中して詠唱を続ける。


「“我、その焔に魔を捧ぐ者成りーーー”」


紡ぐと同時。

リンテウスの周りを黒い煙のようなものが覆い、右腕から大蛇のようなものが浮き出し始めた。


「“黒焔よ!我が真意に答え、その龍威を示せーーー”!」


右腕を高く掲げて彼は叫ぶ!


「『黒焔の龍砲ブラックフレイム・ドラゴンロア』ーーー!!!」


詠唱が終わり、リンテウスの右腕には大きな黒い大蛇、否龍が立ち昇る。


“ガァアアアアアアアアアア!!!”


龍は、巨岩を打ち砕かんと砲声を上げると、そのまま巨岩へと突っ込んでいった。


ドガァアアアンッ!


衝突と同時。

この世のものとは思えないほどの大音響を与え、巨岩は砕け散った。

しかし、黒龍もその時点で力を使い果たしたのか、巨岩が砕けると同時に姿を消失。

巨岩と黒龍の勝負は、所謂痛み分け、といった感じだった。


「チッ……あの程度の石っころに我が手間取るとはーーー」


何にせよ、巨岩(脅威)は去った。

そう思って一息ついていると、観客の誰かが叫ぶ声が聞こえた。


「おい!やべぇぞ!?岩が!岩が落ちてくるぅうう!!!」


(は?何を言ってーーー)


そう思ってリンテウスが空を見上げると、そこにはーーー


「ーーーなっ!?」


ガラガラと音を立てて落ちてくる小さな岩の数々だった。


(しまったーーー。我の不完全な七罪魔法では、奴の恩恵(ギフト)を完全に消しきれてなかったか!)


落ちてくる岩石群。

七罪魔法の使用で消耗した体力。

依然として、リンテウスのピンチは消えてはいなかったーーー




ブクマ、ポイントありがとうございます!

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