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21.七重秋人の考察

今回は主人公視点です。

次話は、いつも通り3日後に投稿します。



いけ好かない男、リンテウスと対峙した俺は、兎にも角にもこの世界の常識(ルール)を知らないのでは、話にならない。

と、そう考えて、今ウィキトリア図書館にいる。


「んーと、あ!これこれ、俺が探してたやつ……」


図書館は大きく、俺の探し物を見つけるのには相当の時間を要したが、それでもなんとか見つけることに成功すると、手近にあった椅子と机を使ってその本を開いた。

その本には主にこの世界の種族の平均ステータスが載っていた。

概要はこんな感じ。


ーーーーーー

アルンには多種多様な人種が存在する。

これは即ちステータスの値もそれだけ違いが出てくるということである。

そこで、私フェブラスは今回この種族によってステータス初期の平均値(ここでは、これのことを“種族値”と呼称することにする)と、その後の伸び代(ここでは才能値と呼称する)を調べてみた。

以下は、私が調べることができた各種族の種族値と才能値である。


人間:種族値30。才能値10パーセント。

私が調べた種族の中でもダントツの最下位。

唯一の特徴として、数百万人に一人の確率で発現すると言われる、恩恵ギフトの存在だろうか。

しかし、それを考慮したとしてもあまりにも脆弱すぎるステータスだ。

よく今まで繁栄できたものだと不思議に思う。


獣人:種族値は筋力、敏捷、器用、HPが100オーバー。耐久が少し低めの70。MPは人類最弱の10。

才能値は、筋力、敏捷、器用、HPが30パーセントで、耐久が20パーセント、そしてMPは5パーセント。

おそらく人類の中で最もステータスに偏りがある種族だと思われる。

最初調べたときは私も何かの冗談ではないだろうか?と思いはしたものの、それでも何度見ても内容は変わらない。

多分、この統計で間違いはないのだろう。

尚、これはあくまで平均であるため、銀狼族のようなものは例外である。

というか、彼らはあまりにもレアすぎて調べることが叶わなかったのだが……。


エルフ、ドワーフなどの妖精族全般:MPが300オーバー?才能値が50パーセントオーバー?

実を言うと、彼らの種族値は調べることができなかった。

というのも、妖精族全般というのはあまりにも枠組みが広すぎて、ほとんど平均と呼べるものがなかったのだ。

それでも何とか共通項を見出せないかと粘った結果、わかったのは、このMPの種族値が驚異の300オーバーという数値である。

MPだけならば我ら魔族と同等……否、むしろ上回っていると言っていいだろう。

今後、もし他国と戦争する機会があるとしたら、是非とも妖精族に対しては最大限の警戒を払っていただきたい。

……人間?特に、気にすることはないと思うがな。


魔族:種族値は、ステータス全般が200オーバー。才能値は50パーセントオーバー。

最後は、我ら魔族の種族値の紹介だ。

しかしながら、こうして改めて種族値を比べ直してみると我ら魔族のステータスがいかに優れているかがわかると思う。

妖精族や銀狼族のような一部の種族を除いて、ほぼほぼ魔族の一強と呼んでいいだろう。

人間なんかイチコロである。

ただ、あくまでこれも種族値として平均を求めただけなので、これよりも高い魔族もいれば、低い魔族もいる。

そのあたりはよく考えていただけると幸いである。

ちなみに、同じ魔族に属している竜族は種族値とはかけ離れたステータスを持っているため、何の参考にもなりはしないので、ご注意を……。


ーーーーーー


「うん、なるほど……」


終始人間蔑視が激しかったが……。

それでも俺の求めていた情報がしっかりと載っていた。

それにしても……。


「竜族か……リンテウスが竜族じゃなければ良いんだが……」


竜族は別格。

それがどれほどのものかは、明記されていないので何とも言えないが、少なくとも一般の魔族の数倍は強いと考えた方が良いのだろう。

他にも、銀狼族や妖精族などと気になる種族はいたものの、目下敵となり得るのは魔族である。

ならば警戒をしておくのは竜族だけだろう。


「しかしなぁ……リンテウスが竜族だったらどうしよう?」


正直言って、明確な種族値がわからない以上俺の勝率は100パーセントではなくなってしまったのだが……。


「まぁ、いいや。とりあえずは、知りたいことは知れたし……。今度は俺がどのくらいできるか確かめるとするか」


俺は図書館を後にし、アイレと模擬戦をした旧校舎へと向かった。





「よし、ここなら人は誰もいないだろうし……早速、実験していこうかね」


闘技場で渡されたステータスカードに魔力を込める。


「ん?……どうやら、レベルが上がってたみたいだな」


黒牙豹ブラックサーベルタイガーを殺したおかげか、俺のすては大幅に上昇していた。

これが、今の俺のステータスである。


ーーーーーー


名前 アキト・ナナエ

種族 超人族 年齢16


Lv.22

HP 3234/3234

MP 849660/849660

筋力 1544

敏捷 1515

耐久 1529

器用 1500


スキル 『カルマ』Lv.9

『武芸百般』Lv.5


恩恵ギフト一握りの希望(ギャンブル・カード)


ーーーーーー


「うーむ……」


MPが約85万か……。

ここだけを見たら滅茶苦茶、というかホントに化け物みたいに思えるが……。

リンテウスは一体どのくらいなのだろうか?

と言っても、あいつのレベルがどのくらいかもわからないので、調べようがないといえばそこまでなのだが……。

いや、でもおそらくMPだけは俺の方が多いだろう。

これより多かったらあいつ、マジで人間辞めてるよ。

……魔族だから元々人間じゃないけど。


閑話休題。


今は、俺のステータスよりも俺の(カルマ)の特性と、異能『一握りの希望(ギャンブル・カード)』に性能を調べるのが優先だ。


まずは、カルマ

どうやらこのステータスカード。

カルマというスキルとして一括りにしていただけで、実際にはその技が何種類かに分類できることに気付いているみたいだ。

実際の表記はこうなっている。


ーーーーーー


(カルマ)』:闘鬼の業Lv.9

隠鬼の業Lv.6

見鬼の業Lv.3


ーーーーーー


うん、こうやってみると如何に俺が闘鬼の業以外を疎かにしていたのかがわかるな……。

まあ、元々日本でも他二つは棺の方が得意だったし……俺は、搦め手とか苦手だしなぁ。

こういうのは致し方ない、としておこう。


「ま、とりあえずは実験開始っと。『闘鬼の業』!」


ーーーアキトが『闘鬼の業』を発動。

ーーーHP、MPを除いた全ステータス値にプラス450パーセント。


「へぇ……450パーセント、か」


それが本当だとしたら、俺の今のステータスは恐ろしいことになってるな。

ちなみに暗算で出した今の俺のステータスがこちら。


ーーーーーー


Lv.22

HP 3234/3234

MP 849660/849660

筋力 8492

敏捷 8333

耐久 8410

器用 8250


ーーーーーー


ほへー……後、もうちょいで5桁に入るじゃん!

うーん……ここに来て、レベル上げをあまり行えてないのがネックだな。

ちなみに、『見鬼の業』をしてみるとーーー


ーーーアキトが『見鬼の業』を発動。

ーーー器用にプラス300パーセント。


ーーーーーー


Lv.22

HP 3234/3234

MP 849660/849660

筋力 1544

敏捷 1515

耐久 1529

器用 6000


ーーーーーー


という結果になった。

レベルを上げればそうではないのかもしれないが、今のところ『見鬼の業』は完全に『闘鬼の業』の下位互換になってしまっているので、あまり役に立ちそうにない。


次は、俺の異能『一握りの希望(ギャンブル・カード)』の検証である。


「ーーー『一握りの希望(ギャンブル・カード)』っと」


右手に一枚のトランプカードが発現し、右上に書かれてある数字がめくり上がる。


『トゥルルルルルッッッ!!!カシャンッ!ーーークローバーの!6!!!』


そして、手には緑色の猟銃のような形をしたものができた。

その瞬間、脳内ログが響く。


ーーーアキトが『一握りの希望(ギャンブル・カード)』を使用。

ーーー敏捷にプラス60パーセント。


僅かな敏捷への補正をかけて、脳内ログは終わりを告げる。


「うーん、これってクローバーの6だから、60パーセントの補正が入ったのか、それともこれが『一握りの希望(ギャンブル・カード)』の元々の性能なのか……?イマイチ特定がし辛いなぁ」


ということで、何度か『一握りの希望(ギャンブル・カード)』を使用してみた結果、この異能の法則性がわかった。


まずは、模様の法則。

模様によって強化されるステータスは違うらしく、結果的に次のようになった。


スペードが筋力の強化、そして火属性の付与。

クローバーが敏捷の強化、そして風属性の付与。

ダイヤが耐久の強化、そして土属性の付与。

ハートが器用の強化、そして水属性の付与。


つまり、俺がスペードのカードを出せば、自動的に筋力に補正が付くようだ。


次に、数字の法則。

まぁ、これは単純明解な法則だったのでそこまで悩まされなかったが……。


出た数字×10パーセントの補正。


これが法則だ。

2を出したら20パーセントの補正、4を出したら40パーセントの補正。

と、こんな感じである。


よって、今までの検証結果をまとめると、俺がダイヤの8を出せば、脳内ログに“耐久にプラス80パーセント”となるようだ。


「ふぅ……全く、なんて面倒な異能なんだ……」


自身で作り出した異能とはいえ、こんなに面倒くさい設定を考えたとは思えないんだが……。

まぁ、なにぶんこれを作ったのも随分昔の話だ。

もしかしたら、使っているうちに俺が忘れただけなのかもしれないしな……。


ーーーキーンコーンカーンコーン


俺が一息ついていると、不意にチャイムが鳴った。

どうやらそろそろ放課後のようだ。


「よし、じゃあ行くか!」


決闘に、ギリギリ間に合いそうだーーー


と、そう考えて俺はリンテウスがいるであろう教室へと向かった。





ブクマ、ポイント、ありがとうございます!

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