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13.その一撃は、正しく勇者の如く……

すみません……今回かなり少なめです。

次からはまた、多めに書けるようにします。

次話は、3日後に投稿します。



黒牙豹ブラックサーベルタイガーが突撃すると同時に、秋人はガントレット付きの右腕を弓なりに引く。

恐らくこれから黒牙豹ブラックサーベルタイガーの頭を殴る気なのだろう、と秋人の小さな挙動に気付いた観客たちは思った。

しかしながら……その拳は、彼らが思うよりもずっと強力な拳撃だった。

衝突は一瞬。


「グルウォォオオオ!!!」


雄叫びを上げながら迫り来る黒牙豹ブラックサーベルタイガー

黒牙豹ブラックサーベルタイガーの爪と秋人の拳が、クロスカウンターでも喰らわすかのような形でも交差した後、一瞬の拮抗すらなく黒牙豹ブラックサーベルタイガーは壁に叩きつけられてしまった。


ーーーそれは、ただの拳と形容するにはあまりにも大きすぎる一撃だった。


秋人の拳が黒牙豹ブラックサーベルタイガーの顔を捉えると同時に、まるで大砲が城を穿ったかのような音が鳴り響いた。

観客たちの誰もが状況を理解できずに、壁にめり込んだ黒牙豹ブラックサーベルタイガーの様子を伺う。

腹の中で爆弾が四散したかのようにはみ出した内臓に、目が飛び出した形で硬直している顔。

種族名に冠するほどに立派だった二つの犬歯はボロボロに砕け散り、秋人の拳を直に喰らったであろう箇所には大穴が開いていた。


ーーー一見して即死だったことは、誰の目にも明らかであった。


この衝撃的な場面を目の当たりにしていながらも、最初に驚愕から立ち直ったのは司会者だった。


『え〜……というわけで、これでアキト選手の決闘(バトル・オリンピア)は終了です!みなさん、偉大なる選手に大きな拍手を!!!』


そして、司会者の言葉を聞き、気を取り直した観客たちは盛大な拍手を送る。

アキトはその姿をつまらないものでも見るかのような顔つきで、リング場を後にした。





「な、なんじゃあれは……」


一方、こちらは魔王。

秋人が決闘(バトル・オリンピア)で殺されないようにするために、娘と一緒に様子見に来ていたのだが……。


「ふむ……人は見かけによらぬとは言うが、まさにその通りじゃな……」


「うんうん、イイじゃん!すごいかっこよかったわよ!私の奴隷(アキト)!」


「う、うむ……」


先ほどの試合を見て、ハイになった様子の娘は随分と満足そうだ。

まあ、それも致し方ないとも言える。

魔族は本能的に強者を好む。

弱者を虐げるのもまあまあ楽しくはあるが……それよりも、自分の隣に立てるような人材を求めてしまうのは当然といえよう。


「えへへ……あいつと戦ったらどうなるかなぁ。……すっごい面白そう!!!」


現に娘は既に秋人と対戦することを望んでしまっているようだ。


「(うーむ……お主と“死合い”などをさせてしまえば、あの少年もただではすまん気がするがのぅ……)」


とは言っても、ここ最近不機嫌気味だった娘が久しぶりに見せた笑顔なのだ。

親としてはその笑顔を守ってあげたいと感じるのは、至極当然な話だ。

結局のところは、頑張って生き残ってもらうしか道はないか……と、魔王は諦観の念を抱く。


「(しかし、それにしても……あの、容姿にあの面妖な着衣……。どこかで聞いたことがあるような気がするのだが……)」


妾の気のせいだろうか?と首を傾げる魔王。


ーーーその者、黒き目に黒き髪を持ち、黒き衣装を見に纏う。

ーーーその者こそ、勇者の証なり。


と。


魔王城に保管している歴史書にはそう語り継がれているのだが……。

なにぶん、勇者がこの世界に召喚されることは久しぶりな故、首を傾げたまま固まっている魔王には、思い出すことは出来なかった。






ブクマ、ポイント、ありがとうございます!

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