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不気味な夢

真斗「??ここはどこだ?」


気がつくと真斗は見ず知らずの村のど真ん中に立ちすくんでいた。

見た限り村一番の交差点、しかし人はおろか馬車や人力車もなく、家畜もいない。

草も村の中だけ生えておらず昆虫一匹いない。


真斗以外の生命がその村には存在していないようだった。


真斗「誰もいないのか?それよりも臭いな。」


真斗の周りには何かが燃えたような酷い匂いが漂ったいた。

その匂いはただただ酷く、何を燃やしたのかは分からなかった。


しかし何か燃えている痕跡を見つけた。


教会の裏から煙が上がっていた。

真斗は人がいる可能性を考えてそこへ向かった。


能力を手に入れてから護身用として身につけていたピストルを手にとって構えた。

教会の裏には何かが積み上げられて燃えていた。


真斗「誰かいるのか?」


焚火の周りにも誰もいない。

しかしなにが燃えているのかが気になった。


真斗「いったい何を燃やして…これは!!」


積み上げられていたのは人の死体だった。


真斗「こいつの匂いだったのか、やけに臭いわけだ。」


???「彼らは焼かれたのです。」


突然真斗の後ろから声が聞こえた。

真斗は素早く振り向き銃を向けた。

目の前にはフードを被った男がつったっていた。顔は視認できなかった。


真斗「誰だ!!」


???「おお、恐ろしい、その『じゅう』とかいうが彼らを殺したのですか?」


真斗「質問しているのは俺だ!!もう一度だけ聞く、お前は何者だ!!」


???「私は彼らの代弁者、彼らの苦しみを感じる者。」


真斗「っ…」


???「貴方が鉄の鳥から落としたアレが彼らを焼いたのです。」


真斗「貴様、俺たちを知っているのか?」


???「彼らは貴方方に…」


真斗「答えろ!!」


ズドォン!!


真斗のピストルはなんの躊躇もなく弾丸を発射した。

弾丸の威力でハードがめくれ、男は後ろに仰け反る形で倒れる。


真斗「チッ、何が代弁者だ、まるで神を気取った言い方だな。気に食わねえ。」


???「その我々が神なのです。」


真斗「!!」


死んだはずの男はゆっくりと立ち上がろうとしていた。


???「我々は神直属の親衛隊、第十階層天使軍団、その中でも精鋭の第703天使小隊。」


真斗「第十階層だと!?そんなものがあるはずない!!」


???「貴方方はついに神への宣戦布告を果たした。これまで何度も我々に対して未熟な人間が我々に宣戦布告をしてきたがその度に返り討ちにした、しかし貴方達は作戦もさることながらその士気はこれまでにないほど高揚し、これまでにないほど強力だ。」


真斗「それ以上喋るな!!」


ズドォン!!ズドォン!!ズドォン!!


真斗「45口径の鉛、第十階層といえどほぼ丸裸の生身に鉛がめり込めば毒素と変わり人体に影響を及ぼす。」


???「我々はその士気の中心人物、前薗と貴方を抹殺することに全第十階層の天使の賛同を得てここにそれを決行する!!」


真斗「やれるものならやってみろ!!…ん?…!!熱い、何だ!?」


???「貴方の腕をご覧なさい?」


真斗「何だこれは!!」


燃えていた死体が何体も真斗の身体中にまとわりついていた。

死体は燃えていて熱を帯びていた。


真斗「くそ!!離せ!!離しやがれ!!俺は手前らなどとは死なない!!せめて奴だけは道連れにしてやる!!」


???「貴方は自分自身の業を背負って制裁を受けるのです。」


真斗「クゥゥソォォめがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」









真斗「!?」


気がつくと真斗はベッドの上にいた。

夢のようだった。


真斗「はぁ、はぁ、ストレス障害の一種か?」


顔には汗が垂れていた。


それほどのショックだったのだろう、どれだけ歯を食いしばったのか既に顎には力が入りにくくなっていて喋るのもやっとだった。


真斗「今日は非番か、助かった。爆撃隊を指揮した人間がストレス障害など、笑いの種だ。」


真斗は引き出しの中に用意しておいた私服に着替えて部屋を出た。


真斗「リラックスついでに外にでも行くか。」


今日は非番で基本的には緊急招集の時以外は休みの扱いだった。


真斗は部屋の地図を手にとってどこに行くか決めていた。地図にはGLOAから丁度南の位置に反神主義の皇国があった。


基本的には入国に面倒な手続きが必要なかったため真斗はそこへ行くことにした。


真斗「司令官、気休めに少しだけ外出したいのですが。」


基地内通信で前薗に許可を取って真斗はGLOAの門を出た。


真斗「確かあそこには美味い飯屋があるらしいな、楽しみだ〜。」


???「ここがGLOA、なかなかの設備じゃあないか。」


真斗と入れ違いでGLOAに入る影、その姿は一瞬真斗の夢に出てきたあの男に似ると感じるような格好だった。













天界、

完璧なシステムに統制された天界は村の爆撃のことで話が持ちきりだった。


天使「まさか奴等が仕組んだのか?」


天使「しかし奴等に空を飛ぶ力などあるはずがない。」


天使「奴等は基本的に剣、弓矢、斧、鎌、盾などで戦闘するはずだ。空を飛び回って全てを炎に包むモノを持てるはずがない。」


天使「しかし迎撃に出た天使からの最期の通信は『GLOA』だったぞ。」


天使「それに最近反神分子の行動が大きくなりつつある。」


天使「鉄の鳥の中で1人の青年が不敵に笑っていたという目撃証言もある。」


???「そう慌てるな、それを解明するためにあの2人を選抜したのだ。」


天使達の後ろにはあの真斗が憎む『神』が椅子に座っていた。


天使「しかし、あの鉄の鳥などを奴等が…」


神「思い当たる節が一つだけある。間違いなく奴だ、奴の能力こそが我々を生まれて初めて苦しめている。」


天使「第三階層の天使ですら容易く落とされてしまうのです、彼等への危険が大きすぎるのでは?」


神「だからこそ第十階層の精鋭天使を送り込んだのだ、人間に最も近い容姿、さらに隠された戦闘力、事がわかればそのままあの2人にGLOAを潰していただこう。」









GLOA司令室、


セルシオ「奴を誰もつけずにGLOAから出したのですか!?」


前薗「ああ、その通りだ。」


セルシオ「何故です!!全面的に協力しているといっても元は赤の他人、しかもGLOAに入ってから時間も経っていない。」


前薗「奴の力は本物だ、あの復讐心も本物だ。」


セルシオ「貴方は最近おかしい、奴が来てからというもの奴にそそのかされているようでならない。この前も爆撃隊を指揮させるなんて無茶をしました、そろそろかを乗り換えてください、奴は貴方を撃ったのですよ!?」


前薗「私が彼を一人で出すと思うか?最強の見張り役をつけてある。」


セルシオ「!?彼女を!?」


前薗「そう、『沈黙の花』、フロースをね。」











真斗「…」


皇国を目指す真斗、しかし違和感を感じていた。


真斗「さっきから目線を感じる、誰かに見られているようだ、だが辺りに人の気配はない。」


歩みを止めずに真斗は考え続けた。

万が一天使軍の見張りに見つかっていたとしたら真斗は既に天使の『矢』で蜂の巣になっている。

つまり天使軍の偵察ではない。


真斗「そうか、GLOAの凄腕スナイパーか。確か、『沈黙の花』だったか。」


一瞬背中に不自然な光を感じた真斗はすぐさま銃を作り出した。


ロシアの麻酔銃、真斗はすぐにそれを数発撃った。


バシュッ!!バシュッ!!バシュッ!!


本物の銃のような銃声はしなかった。


真斗「どうやら1発当たったらしいな。」


真斗から150メートルほどの崖の上、既に意識を失ったのか誰かが横たわっていた。


真斗「全く、面倒だ。」


崖をゆっくりと登る真斗、念のためにピストルも装備しておく。

崖を登りきるとそこにはやはりスナイパーライフルを装備した人が横たわっていた。


ガスマスクをしていて顔がわからない。

防弾服も鉄板入りの重いものでフル装備で30キロにもなる重いものだった。


真斗「これじゃ顔もわからねえ、取り敢えずアーマーだけは外しておくか。」


腰にあるベルトを外してアーマーを脱がせる。

どうやら麻酔弾は腕に当たったようだった。

既に弾は抜かれていたが間に合わなかったのだろう。


真斗「よっこらせ、ふぅ、木にもたれかけさせとくか。」


真斗はスナイパーの脇に手を通して木の所に連れて行こうとした。

その瞬間、…


ぷにっ


真斗「あ………」


胸の部分に柔らかいものを感じた。


真斗「馬鹿な、女が30キロのアーマー背負って5、6キロのスナイパーライフル持って俺を追っていたってのか?さらには呼吸のしにくいガスマスクまで着用して。」


信じられない事だった。

この装備ならアメリカ軍の屈強な兵士でも涙を見ることになる。

それで真斗を尾行していたのだ。


真斗「こいつぁ、正体を確かめなきゃな。」


沈黙の花が眼を覚ますまで真斗は近くにいた。

真斗の使用した麻酔銃の麻酔は持続性があまりなく、あくまでも一時的な無力化を図るためのものだった。

使用してから1時間ほどで眼を覚ませる予定だった。


真斗「ガスマスクも外しとくか。」


おそらくガスマスクは催涙ガスや睡眠ガスなどに対する意識の表れだろうと推測された。


沈黙の花こそがパヴロナの言っていた『神に銃を願った人間』だった。

弾丸不足で出撃は避けていたのだろうが真斗の能力で弾丸をほぼ無制限に作り出せるようになってからはのびのびと行動できたのだろう。


そして沈黙の花は前薗が向けたものだということも真斗は分かっていた。


真斗「ふん、素人にしてはよく分かってる。」


GLOAに入ってから間もない真斗が天使軍の差し金である可能性が高いとされるのも仕方がなかった。


沈黙の花「ん…ここは…」


予定よりも早く沈黙の花は目覚めた。


真斗「おはよー」


沈黙の花「貴様…」


真斗「落ち着け、俺は敵じゃない、GLOAのスタッフだ。」


沈黙の花「黙れ!!貴様は天界からのスパイだ!!」


真斗「ち、違う!!あんなのと一緒にするな!!俺は正真正銘の人間だ!」


沈黙の花「証拠は!!証拠を見せろ!!」


真斗「証拠っても、何もないよ。」


沈黙の花「天使なら背中に折り畳まれた翼がある!!それを見せろ!!早く脱げ!!撃つぞ!!」


真斗「やめろ!!脱ぐから!!」


服を脱ぎ始める真斗。


沈黙の花「なぜ下を脱いだ!!ふざけてるのか!!全裸になりやがって!!」


真斗「急いでたからつい、で?翼はあったのか?」


沈黙の花「ない、ないからさっさと下を履け。」


真斗「はいはい、全く、俺の〇〇〇見やがって。」


沈黙の花「見たくて見たんじゃないわよ!!」




ベチン!!!!




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