沈黙の花
真斗「ん?ここは?」
真斗は見たことのない施設にいた。
医療室のようだが何かと雑な作りになっている。
???「目が覚めたようね。」
真斗「!?」
真斗が振り向くとそこにはパヴロナが座っていた。
真斗「ここは?」
パヴロナ「さっき言った集まりの施設よ。」
真斗「さっき?」
パヴロナに倒された時の衝撃で真斗の記憶は少し飛んでいた。
パヴロナ「ここはGod Land Out Army 略してGLOAよ。」
真斗「GLOA?」
パヴロナ「このGLOAには女性が多いことから別名『フューリーズ(復讐の女神達)』って呼ばれてるわ。」
真斗「武器もなしに闘うのか?」
パヴロナ「武器はみんなそれぞれ持ってる、あの雲の空間で渡されるの。」
真斗「雲…」
パヴロナ「貴方はそこで武器よりも能力を選んだの、貴方の能力は物を創り出す能力ね?」
真斗「そう、だからさっきは銃を使って突きつけた。」
パヴロナ「是非ここでやって見てくれない?」
真斗は無茶を突きつけられた。
さっきは作れたが、あいにく記憶が飛んでいる、どうすればいいかわからなかった。
その瞬間、真斗の脳裏にあの神のニヤニヤした顔が浮かんだ。
真斗「あ、あのやろう…ブチ殺してやる。」
パヴロナ「え?」
真斗「あ!!」
気がつくと真斗の腕の上にはソ連が開発したAK47がのっていた。
真斗「いつの間に…」
パヴロナ「間違い無いわね、貴方は今日からGLOAの一員よ。」
真斗は武器開発、製造の面でGLOAに入ることになった。
突然の話だったが生き残れるのに越したことはなかった。
真斗はまず能力の限界を試すことになった。
これまでにテストで作ったものはオートマチック拳銃、スナイパーライフル、アサルトライフル、サブマシンガン、ミサイル、爆弾系、大きなものは小型攻撃艇、小さなものまでは針まで作れた。
しかしどうしても作れないものがあった、それは『犬』だ、いや、犬に限らず生命を生み出すことができなかった。
人が他人から得た能力で力を得るなど『神』に匹敵する力を持つことになる。
神はそれを恐れたのだろう。
もう一つ作れないものがあった、それは構造が複雑すぎて真斗が構造を理解できていないものだ。
いくら成績優秀といえども人工衛星の構造は理解できなかった。
しかし真斗の知識は並外れているため武器製造の面においては何の問題もなかった。
能力の誓約も『構造を理解しているものしか作れない』と言った程度のもので身体に害が及ぶようなものでもなかった。
パヴロナ「本当ならこのまま作業に入ってもらってもいいんだが、GLOAのボスを紹介しておくわ。」
真斗「司令官かな?」
パヴロナ「司令官でも戦場へ出向くバリバリの現役よ、どうぞ、ボス。」
扉から出てきたのは白髪にロングヘアー、防弾ベストを着ている女だった。
顔立ちはいいが左眉毛の上に傷がある。
パヴロナ「彼女がボス、前薗 友理奈よ。」
真斗「お、女が戦場に出てるのか?」
前薗「女が戦場に出て何が悪い、貴様、さては右翼出身か!!」
突然の展開だった。
真斗は右翼なんて言われたのは初めてだった。
前薗「全く、新入りが入ったと少しは期待したが、飛んだ期待はずれだ、これでは即戦力はおろか、戦闘もまともにできそうに無いな。」
真斗「なんだって?俺が弱そう?」
前薗「ああ、身体つきはそこそこだが、くぐって着た修羅場が違いすぎる。」
真斗「こっちに着てからは踏んだり蹴ったりだ、あんたがボスだか知らないがここで相手にしてやってもいいんだぞ?」
真斗「あ…言ってしまった……」
前薗「ハハッ、いい冗談だ。」
発言に後悔していた真斗の前に恐るべき脚力で前薗が接近していた。
前薗「貴様の首を切り刻んでやる!!」
真斗「うわっ!!」
ドスン!!!
人が倒れる音が部屋中に広がった。
一瞬の出来事に真斗が死んだように思われた。
しかし真斗は過呼吸でその場に立っていた。
真斗「ハァ、ハァ、フゥ〜、何が…起こった。」
真斗の目の前に倒れていたのは前薗だった。
何があったのか真斗本人も分かっていない。
前薗「グッ…そんな…馬鹿な。」
前薗の右足には銃痕があった。
真斗の手にはピストル、真斗は危険を察知するなり無意識に作っていたのだ。
そしてなんのためらいもなく無意識に前薗を撃ったのだ。
前薗「こんな…素人に…私が不覚をとるなんて。」
真斗「へ、ヘヘッ、舐めるからだ、俺を馬鹿にしやがって…もうこんな世界に来たんだ、何したって裁かれねえよ、ハハハハハッ」
パヴロナ「マズイわ、抑制剤の効果時間が切れた、次の準備を!!」
???「窓を開けて、こっちは準備できてる…」
パヴロナ「わかった、一発で決めてくれ、『沈黙の花』!!」
ズドォン!!
真斗「次の奴を連れてこい、今の俺ならどんな相手でも…」
真斗の喉元に注射式弾が命中した。
真斗「くっ、即効性か…」
真斗はすぐに倒れてしまった。