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神の間違い

日本、小さな島国の都心、東京に1人の男子高校生がいた。名前は室屋真斗、成績は優秀、運動神経も抜群、成績は常にオール5をキープ、家はそこそこお金持ちで生活に困ることはない。

父親の車はベンツで大企業のお偉いさんのようだ。

女運にも恵まれて可愛い彼女までいる、すでにこれからの未来が確立されたような完璧超人だった。


唯一彼のおかしな点といえば『超のつくミリタリーマニア』と言うことだけだ。

彼の部屋には大量のエアガンや戦車、戦艦、戦闘機などのプラモデルが飾られていた。

だからといってそこまで狂気じみてるわけでもなかった。


真斗「行ってきまーす。」


母「今日も頑張るのよ。」


いつもの朝の会話だった。

学校までは電車で15分、私立のいい学校に通っていた真斗は近所では有名だった。


毎朝いろんな人が挨拶をしてくるのに対して真斗も笑顔でこたえていた。


しかし今日はそんな余裕がなかった。


真斗「腕時計がずれてるなんて、これじゃ遅刻だよ。」


腕時計が3分ほど遅れていた。

いつもなら電車が来ると同時にホームに入り、ぴったり登校するのだが今日は少し危なそうだった。


急ぐ真斗の前に国道が通っていた。


信号は赤だった。


真斗「悪いことはしたくないけど、仕方ない、信号無視だ!!」


勢いよく国道に侵入する真斗、車はギリギリで止まりながらクラクションを鳴らしたり罵声を浴びせたりしてきた。


「信号守れこのヤロー!!!」


真斗「すみませーん!!」


走りながら国道は抜けた真斗、安心したようにゆっくりとした足取りで駅に向かう。




???「キャーーーーー!!」


突然悲鳴が聞こえた。

正義感の強かった真斗は急いで悲鳴が聞こえた路地に入った。


狭い路地だが、軽トラ一台は通れそうな幅だった。


真斗「こんな時になんなんだ。」


路地を進んでいく真斗、やがて悲鳴の主は見えなかったものの、向こうから恐ろしいスピードで迫ってくる光があった。


ブロロロロロロロッ!!


真斗「まずい!!」


光は車のヘッドライトだった。

折り返して全力で走る真斗、しかし車は迫ってくる。


真斗「まずいまずい!!アッ…」


足元に転がっていたビール瓶に気が付かずにこけてしまった。


真斗「う、うわぁぁ!!」


スピードを落とさない車は突っ込んできた。


ブロロロロロロロッ


真斗「嫌だ!!死にたくない!!死にたくな…」







???「いやぁ〜、やっちゃった。」


真斗「…え、あれ?」


真斗は死んでいなかったようだ。

しかしさっきの路地にあるわけでもない。

周りは雲に覆われていて目の前には神話に出てきそうな白い衣装の女性と歳をとった老人がいた。


真斗「失礼ですが、どちら様ですか?」


丁寧に真斗は聞く。


???「ん?教えて欲しいか?」


真斗「教えていただけるなら是非。」


???「よろしい、教えよう、私こそ諸君たち下界人が『神』と呼ぶものだ。」


真斗「はい?」


神「だからぁ、私は神だと言っているんだ。」


真斗の反応が遅れる。


真斗「つまり?」


神「君は死んだんだよ。」


真斗「!?」


信じられなかった、自分が死んでいるなど。

これまでの楽しい人生が早々に幕を閉じたのだと。


神「それとぉ、君に謝らなくちゃいけないんだ。」


真斗「?」


神「実はぁ、キミィ、死ぬ予定じゃなかったんだよ。」


真斗「…え?」


神「君と同姓同名の老人を天に送ろうと思ったんだけど間違えちゃったんだ。」


真斗「…どう言う意味だ。」


口調が一気に変わった。

まるでチンピラのような威圧的な喋り方に。


神「君はミスで死んだんだ。」


真斗「なら早く生き返らせろ、俺は今日学校なんだ。」


神「それはできないんだ、決まりでね。」


真斗「なん…だと!?」


神「君を元の世界に生き返らせることはできない。しかしこのままでは私としても示しがつかない、そこでだ。異世界に生き返らせよう、さらには好きなスキルと道具をどちらか1つだけ上げよう。」


真斗「ふざけるなよ…ふざけるなぁ!!俺の人生を勝手に終わらせやがって!!」


真斗は人生で初めてキレていた。


神「これを断れば君には地獄に行ってもらうよ?」


真斗の後ろの雲が開いて下が見えた。

下では人が檻に入れられて舌を抜かれていた。


神「私の話を断った連中だよ。彼らには苦しみを開けてもらった、神の指示に従えないからね。」


真斗「…わかった、なら能力を1つもらう。」


神「話がわかっていいねぇ、なんの能力だい?」


真斗「好きなものを創造する能力。」


神「よかろう、異世界への門は開かれた、今新しい旅が始まらん!!」


真斗「!?」


突然真斗は激しい光に包まれた。

あまりの眩しさに真斗は手で目を隠した。

そして目を隠しながら叫んでいた。


真斗「許さない、貴様を必ず殺してやる!!」







真斗「殺してやる!殺してやる!俺の生活を返せ!!…ハッ!!」


気がつくとそこは雲に覆われた空間はなかった。


あたりには民家のような家が建ち並んでいた。


人が何人も皮肉を込めるように真斗を見ている。

しかし様子がおかしい。


現代の流れではおかしな言動を繰り返す人間は動画を撮られて全国に配信される。しかし今真斗を撮影するものどころかガラケーやスマホを手に取るものもいない。

そもそも服装がおかしかった。

みんなみんな西洋の昔の服装をしていた。


真斗「なんだここは。」


よく見れば街並みもおかしい。

町というよりは村に近い、道路も舗装されていない。

車もバイクも走っておらず走っているのは馬車のみ。


「彼はどうした、頭がイかれたのか?」


「ママ、なんであの人叫んでたの?」


「シッ、見ちゃダメよ。」


明らかに日本とは異なる世界、しかし言ってることははっきりわかる。

村の看板に書かれていたのは日本語とは異なる言語だったがなぜか書いてあることは理解できた。


真斗「ここが、奴が言っていた『異世界』か。しばらくこの辺を見てみるか。」


真斗が村を見て回ろうとするといきなり村人が叫び始めた。


「神の使いが、天使様がおいでになるぞ!!」


真斗「何?天使だと?」


人々が教会に集まっていたので真斗もそれを見に行った。

教会は村人で溢れかえっていて入るのが難しかったが真斗は村人を押しのけて無理やり入ろうとしていた。


真斗「ちょっ、見せてください。」


一瞬村人の間から大聖堂に光が降り注ぐのが見えた。


???「貴方が新入りね?」


突然後ろから声をかけられた。

真斗はビックリして一瞬声が出なかった。


真斗「は?新入り?」


???「まあいいわ、付いてきて、『奴ら』に見つかると殺されるわ。」


真斗「殺されるだって?」


真斗はその意味を理解できなかった。

しかし死ぬのだけは嫌だという一心でついていった。


教会を離れ、森の中に逃げ込んだ。


何時間も歩かされた。

もはや人が居る気配はない。


真斗は助けてくれた人に名前を聞いてみた、しかし名前を聞いても名乗らない。

顔はフードのようなものをかぶっているのでわからない、しかし声と口調的に女性のようだった。


真斗「俺をどこに連れて行くんだ?」


???「…」


真斗「おかしい、何故答えない、そこまでして俺に知られたくないことでもあるのか?それなら何故俺を助けた、助ける必要があったのか?そういえばアレがあったな。」


真斗は「小便してくるよ。」とだけ言って草むらに隠れた。


真斗「さあて、お手並み拝見だ。」


真斗は何かを始めた。

草むらの奥でガサガサと物音を立てた後真斗は平然とした顔で出てきた。


???「用は済んだ?済んだなら行くわよ。」


真斗「待て、動くな。」


真斗の手には銃が握られていた。


真斗「S&Wだ、装弾数は5発だがお前が怪しい動きをした瞬間に引き金を引けば絶命させれるぞ。」


???「馬鹿な、どこにこんなものを!!」


真斗「ありがたいものだ、まだ慣れていないせいでオートマチックは作れなかったが構造が簡単なリボルバーはすぐにできた。」


???「そう、やっぱり『奴ら』に接触していたのね。」


真斗「さっきから『奴』とか『奴ら』とかなんなんだ、話がわからない。」


???「そうね、これの説明をするならまずは自己紹介ね、私はシエスタ・パヴロナ、生前は校内の爆発事故に巻き込まれて死亡したわ。」


真斗「俺と同じ死人てことか。」


パヴロナ「奴らとは私達に不都合な死を与えた者たち、『天界の住人達』よ、私達はそれに復讐するために集まっているの。」


真斗「達ってことは他にもいるってことだな?」


パヴロナ「ええ、細かい数までは特定できてないけどざっと200〜300人はいるわ。」


真斗は自分と同じ境遇の人が居ることを知った。


真斗「お前は能力か何か持っていないのか?」


パヴロナ「貴方のような能力はないけど私にもある。」


真斗「へぇ、なら見せてみろ!!」


真斗は銃の引き金に指をかけた。

その瞬間、パヴロナは距離を詰め、真斗の腕を掴んだ。


真斗「腕を掴んだ程度で、勝てるなんて思うなよ!」


ハイキックで対応するがそれは受け流され、さらには真斗も地面に叩きつけられた。


真斗「グハッ!!」


パヴロナ「私は接近戦闘に対応する力を手に入れたわ。」


真斗「くそ、俺が…俺が奴を…殺すんだ…奴を…」

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