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黒き太陽~story devoted to you~  作者: 鷹
残忍酷薄
99/371

~cruelty~

拝命したのは、リュユージュと言う名前の小柄な青年だった。


「奴隷市場の調査ですね。承知致しました。」


彼は眉一つ動かす事なく、下された命令に従う。


「ええ、お願いね。」


リュユージュは無表情のままベネディクトに軽く会釈をし、彼女の書斎を後にした。







彼は出立の前に、ウィトネスの宮殿に足を運んだ。門衛達は敬礼をすると門扉を開けて中へ導こうとするも、リュユージュはそれを断った。


「此処でいいよ。アリュミーナを呼んでくれる?」


「かしこまりました。」


暫くしてアリュミーナが宮殿から小走りで出て来た。


「もう!間もなく、ウィトネス様の御食事の時間なのに!」


「そうか、済まない。こちらも急ぎなんだ。」


アリュミーナはリュユージュが手にしている書類の束に気が付いた。


「それ…、また特命?」


何の説明がなくとも彼女は、状況を理解したようだ。


「どうぞお気を付けて、兄様。」


笑顔を作ろうとしても素直な彼女にはそれが出来なかった様だ。


特別命令の内容は他言禁止である。当然、家族であってもだ。


しかし何れも、恐らくは危険な任務なのだろうとアリュミーナは心配そうに眉を下げる。


「じゃあ、行って来るね。」


表情こそ変えないものの、翡翠色の瞳を細めた彼は蜂蜜色の髪をなびかせて旅立って行った。







「神の御加護があらん事を。」


アリュミーナはもう見えなくなった兄の背中に短い祈りを捧げ、忙しない日常へと意識を戻した。

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