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黒き太陽~story devoted to you~  作者: 鷹
不得要領
7/371

「…何でもないわ。」


長い睫をたたえた紺碧の瞳を伏せるベネディクト。


特に返事はせず、その気配だけを感じているルーヴィン。




二人の沈黙の間をまた、一つの強い風が吹き抜けた。







「降りそうだな。」


強風は雨雲を運んで来た様だ。じわじわと、更に体感する湿度が上がる。


「雨は嫌いだわ。」


ベネディクトは風に乱れた髪を整える。またすぐ乱されるのを承知の上で。


「忙しくなるからか?」


皮肉混じりに笑むルーヴィンは噴水で煙草の火を消した。


「そうね。」


「今夜は大丈夫だろう。もう夜も更けた。」


「そうね。」




取り留めのない会話。


意味を持たない会話。




━━いつでも貴方はそう。核心になんか、絶対に触れないんだから。


ベネディクトは心の中で一言、兄に不満を呟く。


同じ様に決して核心には触れようとはしない、自分に気付いていながらも。




「さて。私はそろそろ戻るが、お前はどうする?」


ルーヴィンはベネディクトを手招きする。


「まだいいわ。」


彼女は背を向け、広い中庭を歩き進めた。







ルーヴィンが慣れた足取りで吸い込まれて行ったのは、厳然なる建物。


初めて目にした者はもしかしたら、王宮と見紛うかもしれない。


其処は大聖堂。それは威儀や厳粛の象徴でもある。




ルーヴィン・クロイツァー。


彼は、世界宗教『ヴェラクルース神使教』の宗主を担う人物なのだ。

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