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黒き太陽~story devoted to you~  作者: 鷹
実事求是
68/371

その夜は雨にも関わらず客の入りが良く、ドラクールは早めに店じまいをする事が出来た。


━━良かった、肉屋も魚屋もまだ開いている。


彼は足早に食糧品の調達に向かう。耳たぶの重さを、気にしながら。




「間に合った。」


両手に荷物を抱えたドラクールは、足で茂みを掻き分けてリサの元へ急ぐ。


彼女の手には僅かな量の出来立ての粥が湯気を立てていて、それに塩を振っていた。


「それ、どうしたの!?」


「そっちこそ。」


ドラクールは粥を顎で差した。


「…盗んだ。」


微かな躊躇いの後、リサは正直に答えた。


「そうか、俺は買って来た。今日は金が作れたからな。」


ドラクールはリサの窃盗を注して気にもせず、荷物を彼らの傍らに置いた。


「お肉とお魚だよ、お姉ちゃん!」


目を輝かせるハクとミサ。


「いいの?」


一瞬、リサは全てを忘れた。自分に関われば極刑になる事を。




その返事を、見逃してしまいそうな程の微かな笑顔を添えて返すドラクール。


自分は極刑にはならない、と言った事をリサが信じようが信じまいが、彼にはどちらでも構わなかった。




ただ、


━━これで禁忌は免れた。


そう思った。




例えその場しのぎの術であっても。


半面、此処に来れば来る程に己の不甲斐なさが身に沁みて仕方なかった。


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