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黒き太陽~story devoted to you~  作者: 鷹
━追憶━
60/371

~reminiscence~

泥水を啜り、


腐肉を食し、




何度、


涙した事か。




それでも空腹には勝てずまた再び、到底食物とは呼べない様な物を口にする。







木の根や皮、足元の土などはまだまともな方だ。


小動物の死骸は、間違いなく下痢か嘔吐が待ち受けているのは何度も経験済みだ。


それでも、彼は食べる。


生きるため。


その先などは考えず、ただ今を生きるために。




界隈には施す者がいないどころか、盗みに入れるような民家も商店もない。


誰も、居ない。


生きている者は彼、唯一人。




その土地に在るは、柊の大木のみ。







それにしても如何せん、彼は幼かった。生きる意味など考えられる年齢ではない。


ただただ、手に触れた全ての物を一心不乱に口へと入れた。










どのくらいの時が流れただろう。


栄養失調や脱水症状から来る、気だるく熱を孕んだ肉体。その薄れ行く意識の中で彼はいよいよ禁忌を犯した。




幼心にもそれが”禁忌”だと、分かっていた。




けれどもう、動けない。




禁忌を犯さなければそれは即ち、死を受け入れるという事。




死にたくない。


死にたくない。


死にたくない。




熱に浮かされた本能が最優先の未熟な脳は、いとも簡単に答えをはじき出した。







彼は昨日までとは違う理由で、涙を流していた。




悲しいから。


哀しいから。


切ないから。


苦しいから。













瓦礫の下。腐敗臭と吐瀉物にまみれて目を覚ましたのが、彼の一番古い記憶。


そこから這いずり出て、飢餓と孤独と戦っていたのが次の記憶。




そして、禁忌の記憶。




この後に彼は聖王フェンヴェルグと劇的な出会いを果たし、命を救われる事となったのだ。

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