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黒き太陽~story devoted to you~  作者: 鷹
不得要領
6/371

「あら、ルーヴィン!」


中庭に戻った彼を待ち受けていたのは聞き慣れたその、声。


聞き飽きた、と表わす方が本人にとっては正しいかもしれない。


「ベネディクト。」


彼は声の主の名を呟くと、歩み寄って行く。


片刃の剣を腰に下げ、軽装ではあるが甲冑に身を包む長身の女。


「こんな時間に何をしてるんだ?当直にしても、見回りなんぞお前がする必要はないだろうに。」


「蒸すから、ちょっと散歩がてら出て来ただけよ。」


その回答にルーヴィンは溜息を吐くと、懐から煙草を取り出した。


「早く軍営に戻れ。お前は少し書斎の整理でもするべきだ。全くだらしのない。」


「貴方こそ、戻るべきなんじゃないかしら?」


「ああ。そのうちな。」


「相変わらず不道徳な聖職者ね。煙草なんて。」


ベネディクトは悪態をつきながらも隣に寄り添う。


「お前も偉くなったもんだな。私に説教とは。」


しかし彼はそれを避ける様に、中庭の中心の噴水から少し離れた篝火に向かった。




頬にかかる金色の髪を手で除け、煙草に火を付ける。


忽ちに広がる紫煙。


ベネディクトはルーヴィンの背中を見つめていた。


夜風が、二人の間を抜ける。行き先を変えて漂う煙。




「ねえ、兄さん。」


その風に吹かれ流れる彼女の髪色もまた、金色をしている。


「うん?」


ルーヴィンは少しだけ顔を上げ、肩越しに振り向いた。

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