表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒き太陽~story devoted to you~  作者: 鷹
不得要領
5/371

━━嫌な夜だ。


今宵の月は赤い。


血色の紅と闇色の黒は、ルーヴィンに嫌悪感を抱かせるには充分だった。







「お休みなさい。」


ウィトネスを彼女の部屋まで送り届け、彼は背を向けた。


「あ…、あの…っ、国師様!!」


切迫した彼女の様子に、懸念していた物事が現実に起こったのだとルーヴィンは認識せざるを得ない。


重苦しい、彼の心情。


「はい?」


しかし振り返った表情には、微塵もそれを出してはいなかった。


「あ、あのぅ…。」


言葉に詰まる彼女と目線の高さを合わるべく、ルーヴィンは腰を屈めた。


「大丈夫です。」


そしてその柔らかな亜麻色の髪を丁寧に梳き、頬を指で撫で上げる。


「大丈夫。」


繰り返される言葉の意味が理解出来ず、ウィトネスは殊更に戸惑いを隠せない。




ルーヴィンは微笑んで声を低くした。




「守ってやる。何があっても、だ。」







その言葉が終わるか終わらないかの内にウィトネスの意識は突如として失われ、膝から崩れ落ちるように倒れ込んだ。


ルーヴィンは彼女を受け止め、軽々と両手で抱き上げた。彼は寝室へと続く扉を肩で押し開けると、壊れ物を扱う様に静かにベッドへと下ろした。




「お前は何も知らなくていい。」


そう囁くと、再び月影の下へ戻るべく立ち去って行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ