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黒き太陽~story devoted to you~  作者: 鷹
沈思黙考
48/371

「も、も、申し訳ない!本当に申し訳ない!」


慌てふためき、必死に謝罪を繰り返す店主。




今更ながら、ドラクールは己の迂闊な行動と


己の運命を呪った。







「何でもいいから、それ売ってくれ。」


彼は苛つきを隠さず、店主に詰め寄る。


「いいえ、いいえ、とんでもない!明朝お届けに参ります、どうかそれまでお待ち下さい!」


それこそまるで金銀財宝かの如く、しなびたパンを奪い合う二人。


その勝負は体格の良い店主の方が有利だった。


それでもドラクールは食い下がる。何せもう、酒屋を除いた他は閉店してしまっている。




「王族の方にこんな物差し上げられません!!」




業を煮やした店主の言葉に、彼の怒りは頂点に達した。










「一体何が、何処が違うって言うんだ!?」


ドラクールは力の限り、右手で耳飾りを引き下ろした。


「俺だって同じだろう!!」


破れた耳朶からは、鮮やかな血液が滴り落ちる。


血塗れのその手を差し出すと、店主は震えながら袋を差し出した。







「騒いで悪かった。」


ドラクールは再び髪を下ろして、更に一枚の札をカウンターに置くと店を後にした。




その場に残されたのは、


汚れていない札が一枚。


赤黒く濡れた札が一枚。


床に垂れた数滴の血痕。




そして顔面蒼白の店主。










ドラクールは怒りを踏み締めるように、夜の町を歩く。


ふと立ち止まって空を仰ぐと其処には、満月があった。




人工物かと錯覚しそうな程に、整った金色の円。


彼にはそれが、この世界の過去も未来も全部を見知った神のの様に感じられた。


そして現在はその瞳に自身が映っている事を祈り、同時に僅かな嫌悪も覚えた。







━━痛ェ。


酒場で一杯呷った所為で、彼の耳は余計に熱を孕んでいる。


少しそれを庇いながら、最初よりは慣れた足取りで道無き道を進んで行った。

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