46/371
2
「出て行け!」
『何がお前を変えた?』
このルーヴィンの質問に激しく気分を害されたドラクールは、彼を威圧する。
特に責め立てる気も問い詰める気もなかったルーヴィンは、静かに扉を外から閉じた。
━━変わった?俺が?
自身に自覚はない様で、何度も頭の中で繰り返す。
━━何がどう変わったんだ?
微かな溜息の後、ドラクールは最後の酒を飲み干した。
今夜も雨は降らなかった。
ドラクールには分かりきっている事。そしてまた明朝、ルーヴィンにそれを指摘されるであろう事も。
━━酒がなくなっただけだ。
無意識に自身にも言い訳を用意してしまう、この部分は以前と何ら変わりない。
結局少しの気も向きはしないまま、彼は石畳に腰を下ろした。
深夜よりは早い時間帯。
確実に収穫は見込めるだろうと、悠長に構えていた。
彼の思惑通り、遊び途中の若い女達や疲れ果てた勤め人等。普段よりも格段に多い客が寄って来る。
しかしそれにしても皆、ついでとばかりに愚痴をこぼしたり悩みを打ち明けたり。
━━俺、ただ先見するだけなんだけどな。
心の片隅ではそう呟きながらも、彼は一人一人の話しに耳を傾けていた。
その内容は多種多様。
職場の事。
恋愛の事。
人生の事。
━━何故こんなにも大勢が悩んでるのだろう。
己自身も当て嵌る事には未だ気付いていない。




