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黒き太陽~story devoted to you~  作者: 鷹
潜在意識
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林檎一つで、子供達の胃袋が満たされる筈がない。


それでも無邪気な笑顔をドラクールに向ける。


「お兄ちゃん、ありがとう。」


「ありやっと!!」




「…え、いや…。」


子供と接した事のない彼は非常に戸惑った。こんな場面に遭遇した経験が一度もない。


まるで物珍しい生物を見ているかの様に、子供達の行動を逐一目で追っていた。




「面白いの?」


少女には反対にそんなドラクールが珍しく見えた。


「面白いというか、初めて見た。」


「何が?」


「子供。」


バラバラに動く子供達を追い、ドラクールは忙しなく視線を走らせていた。




「じゃあ、何なら覚えてるの?」


「俺は記憶喪失じゃないよ。」


「え?だって自分が何者か分からないって。」


「そういう意味じゃない。」


不思議そうに首を傾げる少女に説明するには、些か骨が折れそうだ。




「俺が分からないのは、自分が生まれた理由だ。それを知りたい。」







「難しい事はあたしには分かんないな。」


暫く黙り込んでいた少女が、不意に口を開いた。


「だって、今を生きるのに精一杯だもん。」







少女がどんな事情から、この様な生活をしているかは不明である。


ただその瞳には一切、社会や他人への恨み辛みは浮かんでいない。


その姿とは真逆に、心に汚れはないのだろうか。







ドラクールは屋根のある場所で眠り、一日に三回の食事が出来る自身を疑問に思った。


「あんた偉いな。凄いよ。」


安っぽい慰めはしたくないと思いつつも、意志に反して出た言葉だったにも関わらず。


少女はそれに、涙を零した。

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