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黒き太陽~story devoted to you~  作者: 鷹
虚無主張
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木の葉が風に吹かれ、ざわめく。ドラクールは暫く雨月を憂いていたが、ふと、ゆらゆら揺れる水面を覗き込んだ。


墨絵の様な薄雲を背負い、水鏡が写す己の姿。


ドラクールの部屋がいくら簡素だとはいえ、鏡ぐらいはある。だが外見を気にする必要のない彼は、部屋のそれを使用する事は滅多になかった。


━━これが今の俺、か。


自身の漆黒の髪と漆黒の瞳に、改めて溜息が漏れた。


━━老けてるな。


年齢から考えると、大人びていると表現する方が適していそうなものだが。







水面に反射して尚も輝く耳飾りが目障りで、頭を引っ込めた。










「何者!?」


背後からの突然の怒声に、ドラクールは跳ね上がった。


体術の心得を全く持たない、彼だ。振り向き様に戦闘体勢に構えるなどという技術がある筈も無く。


ぐらりと呆気なくバランスを崩すと、そのまま沼へと転落した。




「な、…っ!?」


盛大な水しぶきを撒き散らした後、ドラクールは藻に絡まりながらも水面から顔を出した。




鼻に触れた、冷たい切っ先。


降り頻る小雨の中、目前に浮かび上がったそれが槍である事だけは認識出来た。


「…。」


言葉を失うドラクール。


槍に怯えたからではない。


殺傷能力の高いその武器を手にしていたのが、年端も行かないような少女だったからだ。それも、がりがりに痩せ細っている。







「何者だ!!」


少女はありったけの低い声で彼を威嚇するも、ドラクールは確信した。


例え水の中にいても自身の方が有利だ、と。




「いや、その。怪しい者じゃない。」


彼は長い黒髪のまとわり付いた、例の耳飾りを外して証明して見せようとしたが、


「動くな!!」


少女によってそれは制限されてしまった。




暫くの硬直状態。




「上がらせてくれよ。」


目線で地面を指す。


「ダメだ。」


諦めの良い彼はそのまま温和しく、少女の風貌を観察する事にした。

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