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「なあ、おい。」
部屋を出ようとしたベネディクトを、ドラクールは引き留めた。
大体、こんなに彼が饒舌なのも珍しい。
「俺は何で此処にいるんだ?」
膝の前で手を組み俯いているドラクールを振り返るベネディクト。
「可笑しな質問ね。それは貴方の意志でしょう?」
扉にもたれ、優しく語る。
「違う!あんた達が俺を━━、」
「拉致して、監禁しているとでも言いたいの?」
途端、厳格な表情へと変わった。
「貴方は何も知らないじゃない。」
「当たり前だろう。あんた達は俺に何にも教えちゃくれないからな。」
彼の憤慨は頂点に達したのか、逆に笑っている。
「違うわ。貴方が知ろうとはしないだけよ。」
ベネディクトは金色の髪を揺らし、切な気に首を傾けた。
「去るのも留まるのも、貴方の自由。ただ、これだけは断言出来る。」
そして、その紺碧色の双眼をドラクールに向けた。
「貴方は此処を離れたら生きては行けないわ。」
謎かけの様な言葉を残し、ベネディクトは部屋から出て行った。
━━誰が生きて行けないって?
ふざけるな。
これまで一人で生きて来たし、これからもそうするさ。
常に不作為なドラクールだが、抵抗や反感の精神に支配され始めていた。
それが自我という観念だという事には、当人は未だ気付いていない。




