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粗野な風貌のその男は直ぐリュユージュに気が付き、大股で近寄って来た。
「何だテメエは。見ねえツラだな。」
「だ、旦那。旅のお人でさ。勘弁してやって下さい。」
先程の男が割って入る。
「ほう。守銭奴のお前が目を付けたっつー事は、コイツは金になりそうなのか?」
「いやいやいや、滅相もない。」
男は愛想笑いでそれを躱そうとするが、リュユージュはその肩を押して脇へ退かした。
「残念ながら、僕は期待に添える程の現金は持っていないよ。」
彼はそう言いながら左腰に手を掛けると、刀剣を顕わにして見せた。
「けど、この剣なら相当な金額で売れると思うけどね。」
「ふん、面白れえ!クソガキが!!」
男は懐から短刀を取り出し、勢いに任せてリュユージュに向かって切り掛かって来た。
一瞬の出来事だった。
男が短刀を振り翳した瞬間、まるで閃光が走ったかの様に見えた。
辺り一面に咲いた深紅の華と、耳を劈く様な悲鳴。
「ぎゃあ…っ…あぁあぁあーッ!!」
男の右手は短刀を握り締めたまま、ごとりという音と共に床に落ちた。
閃光の正体である両刃の剣の柄を、リュユージュは示した。
「ほら、良く見て御覧。」
そうは言われても手首を切り落とされた当事者は、完全に混乱状態である。
代わりに先程の男が彼の手元に目を向けた。
「そ、それは…、生命十字の紋章!」
男は恐れ慄き、腰を抜かして後退りをした。
「さっき聞かれた事に答えてあげるよ。」
冷酷無比な行動に相応しい、無感情な瞳をリュユージュは男に向けた。




