Stage7:3日前
一ヶ月間、水明高校では一番厳しい練習を積んできた自転車競技同好会。そしてついに、初のレースまであと3日に迫った。
新学年が始まってから早一ヶ月。それは、自転車競技同好会設立からも一ヶ月が過ぎようとする月でもある。
「今川!ユニフォーム届いたぞ!」
「おお!そりゃ良かった!」
ツインリンクもてぎで開催されるレースまであと3日。ギリギリのところで、やっとユニフォームが届いた。
5月にやることはたくさんある。先ほどのユニフォームもそうだが、高体連への登録もしなければならない。そして何といっても、各地でレースが本格的に始まる時期でもある。ヨーロッパではジロ・デ・イタリアが始まり、こちらでもこのレースやIH予選がある次期である。
※備考:本来、もてぎのレースは4月に行われるのですが、彼らにユニフォームを着させるために5月に行われるという設定に勝手にしました。
今川は部員全員を集める。
「この一ヶ月、俺たちは出来るだけの練習をしてきた。うちのどの部活よりも早く練習を始め、どの部活よりもたくさん汗をかいた。」
部員たちが頷く。
「それぞれの弱点も、まだ完全ではないものの、少しずつ克服してきている。そしてそれぞれの長所も伸ばし始めている。」
また、部員たちが頷いた。
「万全の練習はしてきた。そしてあと3日で、それを始めて試して、弱点を今一度見直すチャンスだ!これから3日間は練習強度を減らしていく。万全の状態でレースに望むんだ!いいな!」
「「「「はい!」」」」
桜川と根本は2人きりでいた。2人きりでいるのは初めてである。
「初レースか…」
「ああ…」
「デビューって感じしないな…根本。」
「デビューって言ったって、たかだか市民レースだろ?まだIH予選までは一ヶ月あるし。」
「インターハイか…俺には、縁のない響きだと思ってたんだがな。」
「え?桜川、お前って中学のとき部活やってなかったのか?」
「ああ。」
彼によると、中学時代は部活はやってなかったという。自転車は中学時代から好きだったようだ。
「いいよなぁ〜お前の学校は!うちの中学なんか、男子は運動部へ入部するのが義務だったんだぞ!だから陸上部に入ってたけど、全然駄目!そんで、自転車を親父に譲ってもらってから、自転車始めて…ってわけ。」
「へぇ…」
会話はそこで止まってしまった。
「桜川」
「なんだ」
「全国…行けるかな。」
「行けるさ…たぶん。」
三日後
午前5:30
「着いたぞ!」
一行はついに辿り着いた。初レースの行われる、ツインリンクもてぎに。
レグルスです。
今回は今一だったかな…レースが書きたくてしょうがないので、少々突っ走ってしまいましたね。でもご安心ください、次からはレースです。気合の入った文章が見れることかと思います。