《ここまでの登場人物》その5
――――◇――――ロマヌス神聖王国――――◇――――
大陸の西にある大国。豊かな土地に恵まれており、その国力は大陸でも最大である。
【聖女マリア】
ロマヌス教団の象徴の少女。
天神ロマヌスの声を聞くことができ、国王よりも影響力がある。普段は聖都の大聖堂の一角にある聖塔の“祈りの間”に籠っており、誰とも直接顔を合わせることはない。
聖塔を触媒とすることで様々な術や奇跡を使えるが、その代償として大聖堂から出られない呪縛が掛けられている。
実はリーシャの行き別れの双子の妹であり、外見や声をそっくり。姉リーシャを救い出すためヤマトに協力する。
【教皇】
ロマヌス教団の最高権力者である初老の男。大陸各地に信者を抱えているために、その権力はロマヌス国王と同等に近い。
自己陶酔が激しい男であるが、教団の教えには従う真面目さもある。試練を勝ち残り、聖女の信頼を得たヤマトたちに協力する。
《四天騎士》
大陸最強と名高いロマヌス神聖騎士団、その中でも上位四名の騎士たちの敬称。
【元剣聖】
四天騎士の一人である実直な初老の騎士。《十剣》の順列は第一位。
四年前の《十剣争奪杯》リーンハルトを破り、その後は彼を弟子として鍛えた。現在は全盛期の力はないが、未だに最強の騎士の一人として君臨している。
【鮮血騎士】
四天騎士の一人である戦闘狂の危険な騎士の青年。《十剣》の順列は第二位。
四年前の《十剣争奪杯》では元剣聖に敗れているが、今ではそれを越えたと豪語している。圧倒的な剣速を誇る騎士。
【双剣兄弟】
二人とも四天騎士である双子の騎士の青年。《十剣》の順列は第三位と四位。
単身でも強いが二対二での模擬戦では四天騎士の中でも最強。息の合った連携を得意とする。
《十剣》
四年に一度、交易都市オルンの闘技場で行われる、《十剣争奪杯》という武術大会。その莫大な賞金と名誉を狙い、各国から腕自慢が集まり武を競い合う。上位十名には次の四年後まで十剣を名乗ることが許される。
【マルネン=ガネシャ】
大陸最大の大商家であるガネシャ家の大当主。大陸各地に支店があり、その権力はロマヌス国王や教皇と同等に近い。自分に逆らう者を許さない厳しさをもち、裏の暗殺集団を執事として無数に抱えている。
才能あふれる実息子ラックには厳しくも当たりつつ、その身を案じていた。ヤマトの言葉に心を動かされ、一世一代の大博打で彼を支援する。
――――◇――――ヒザン帝国――――◇――――
【大剣使いバレス】
ヒザン帝国の騎士の男。
“魔剣”である大剣“暴風”の使い手。鍛え上げられた見事な巨躯の怪力と、鍛えこんだ剣技で帝国でも三本の指に入る強者である。危険な獣臭を放つ猛獣のような騎士で権力には媚びない男。部下からの信頼も厚い戦士。フルネームはバレス・アーバインで皇子ロキの騎士学院時代からの学友。
感情を表に出さない策士ヤマトを毛嫌いしつつ、ライバル視する。だがそんなヤマトからの明鏡止水のアドバイスで更なる剣の高みを目指し、密かに借りを返すために協力をする。
【皇子ロキ】
大陸東方にあるヒザン帝国の皇帝の実子で第三皇子。
産まれの事情から皇帝位継承権が低いために、軍人として育てられた。戦術眼や計略に優れ、“紅仮面”とも呼ばれ大陸各国から恐れられている騎士皇子である。
冷静沈着なイメージがあるが内に秘めた闘志は熱く、大きくなり腐敗してきた帝国の大改革を志す。
大剣使いバレスとは騎士学院時代からの学友で、本音を言い合える唯一の親友。
ヤマトのことを賢人として認めつつ、だがあまりの影響力に密かに危険視しつつ、協力をしていく。
【帝国の老騎士】
初老の帝国騎士で、ロキ直属の真紅騎士団の副団長の一人。
幼い頃からロキに仕えており『爺』と呼ばれて信頼も厚い。年老いてきたが優れた戦闘能力と指揮能力を有している。
【老貴族ウラド】
ヒザン帝国の貴族である老人。若いころから剣の腕で成り上がった騎士で、今は第一線から退いて帝都の屋敷に住む。オルンの街の現太守と若い頃から交流があり、その娘であるイシスを孫のように可愛がる。宮廷内の陰険な雰囲気があまり好きではない。
ヤマトに興味を持ち帝都で何かと世話をする。
【皇帝】
ヒザン帝国の最高権力者である皇帝。シルドリアとロキの実の父親。
歴代の皇帝の中でも随一の武勇と覇気を有し、大陸平定を目指す。巨竜アグニが降臨した時は、南方に遠征中で帝都を留守にしていた。現在は帝都てに人種管理者の出現を危惧している。
――――◇――――オルンの街――――◇――――
【イシス】
貿易都市オルンの街の太守代理の少女。
親しみのある美しい顔立ちの少女で、少し天然な性格な部分もある。だが真っ直ぐで行動力がある姿に市民からの信頼も厚い。ウルド村のリーシャよりも少しだけ年上で、女性としての身体つきも豊か。ヤマトと共に試練を乗り越えることにより、太守代理として大きく成長している。
【リーンハルト】
オルン街の近衛騎士の青年。
イシスの専属の護衛騎士と太守補佐も兼ねており、常に付添い手助けをしている。中原でも最強の騎士称号《十剣》のうちの一人で、剣の腕はかなりのもの。性格的に真っ直ぐすぎるために調略等に弱かったが、ヤマトと出会ってから図太く成長した。
イシスを慕うためにヤマトをライバル視していたが、今は仲間として認めている。
【ラック】
オルンに住む自称遊びの青年。
軽薄な口調でいつも暇そうにオルンの街をぶらぶらしている。初対面の人物に対して警戒心をもたせない特技をもち、すぐに誰とでも仲良くなれる。情報通で行動力もある。
戦闘能力は皆無であるが身体能力は高く、目利き能力や知識も豊富。なぜか憎めない存在である。
その正体は大商家マルネン家の跡継ぎの一人。
――――◇――――ウルドの村――――◇――――
【山人】
現代日本から異世界に転移してきた普通の青年。
黒目黒髪の独特の風貌で、不愛想な物言い。例え相手が貴族であっても口調と態度が変わらない。人付き合いはあまり得意ではなく、特に子どもの相手は苦手。手先は器用だが人間関係に(特に恋愛感情)ついては、いろいろと鈍感で不器用。営業スマイルも苦手。世話になった村の平和を取り戻すために行動を起こす。
【リーシャ】
ウルドの村の村長の孫娘。
美しい顔立ちの少女で、年老いた祖父の代わりに村長代理としてヤマトと共に村の再興に奮起する。十五歳の成人。優れた狩人であり指揮能力も向上してきた。ヤマトと親しくする女性を気に掛ける。
妹である聖女マリアの代わりに人種管理者に囚われの身になる。だがその正体は実は……。
【皇女シルドリア】
ヒザン帝国の皇女で正式にはシルドリア・ヒザン。皇子のロキの実妹である正当なヒザン帝国の皇族の一人。だが本人には自覚が薄く、自由気ままに天真爛漫に暮らしている。
生まれながらに天賦の才を持ち、幼いながらも剣の才能だけなら帝国軍でも屈指。自分より賢く強い男性に惹かれる性格で、ヤマトに興味を持ちウルド村まで付いてきた。
【ガトン】
ウルドの村の辺境に住む山穴族の老鍛冶師。
頑固者で口が悪い職人肌な老人。鍛冶師としての腕は確かで、ヤマトの汚い図面を瞬時で理解して速攻で製作する能力を持つ。どんなに大金を積まれても気に入らない依頼は決して受けない。乗り物にめっぽう弱い。
実は大陸でも三人しかいない“鍛冶師匠”の称号をもった凄い匠。大陸各地の街に山穴族の仲間がいる。
ヤマトに毒舌をはきながらも、その奇想天外な設計図に挑戦するのを楽しみにしている。
――――村の子供たち――――
【スザクの民の巫女】
ヤマトが救いだした、忌み嫌われていた部族の少女。特別な不思議な力を有しているスザクの民の中でも、特に強い力を持っている。精神防壁の効果がある“禁断ノ歌”で、魔竜アグニの恐怖による侵食も防ぎ、勝利に貢献した。ヤマトのためにマイペースで頑張っている。
【ガッツ】
村の子供の中での最年長の子……で実はボーイッシュな女の子だった。
熱血漢で短絡的な性格だが、統率力があり子供たちのガキ大将的な存在。年齢はリーシャより少し年下で、ちゃんとした格好をしたら美しい少女に変身する。本名は別にあるけど長くて呼び辛いので愛称でみんな呼んでいる。ウルド弩隊の隊長的な存在で、常に荷馬車隊で活躍している。
【クラン】
ハン族の美しい少女で歴代族長の直系。
生き残ったハン族の子供で結成した弓騎兵を束ねる身分にある。特に優れた騎乗の弓の才能を持ち負けず嫌い。笛集めを趣味としており、ゴミゴミとした街中はあまり好きではない。
ヤマトのために偵察や運搬など、ハン馬を最大限に生かしている。ウルド荷馬車隊には常に同行している。
【クロエ】
ガッツと同じ歳の物静かな絵描き少女。
力仕事や荒事は苦手だが、絵や文字を書く能力に優れている。最近は村長の孫娘リーシャの手伝いをして、村の経理や管理も行っている頭のいい子。ヤマトのために自分の得意分野で頑張っている。留守になりがちなリーシャの代わりに、村に残り財務や管理を担当していた。
――――◇――――その他――――◇――――
【人種管理者】
霊獣を召喚して使役できる謎の少年。人を下等種として見下して、霊獣のエサとしてしか見ていない。古代超帝国時代の不思議な術をいくつも操る。
その正体は超帝国人であり、人の身に転生していた。その目的は超帝国の復活であり大陸の支配を目論む。
【“黒き魔人”】
千年以上前に栄えていた古代超帝国を打倒した戦士。大陸では珍しい黒目黒髪の青年で、曲刀を振るい黒い甲冑を身につけていたという。
圧倒的な戦闘力を誇り、超帝国の召喚士が使役するあらゆる霊獣を打ち倒す。また超帝国の術も一切効かず、その効果は周りの仲間へも付与されていた。