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D-2 ラクガキと犯人と

本筋より7年前、九条洸平視点。

鳴り響くチャイムの音が俺の意識を覚醒させた。


「っ!やばい…寝過ごした…。」


時計を確認するまでもない…そのチャイムは今日の授業の終了を意味していた。


学活までには戻るつもりだったのに…。


ふと赤みを帯びた室内を見回す。


あの女が居ない…。


「誰を探してんだ〜?一年坊。」


「うわっ!」


声に振り向くと、俺のすぐ後ろの机に男子生徒が腰をかけていた。


可愛らしい童顔の彼は、手に持ったペンを回しながら、悪戯っこの様にケラケラと笑った。


「桜なら音楽室だぜ?」


桜?


あぁ…あの変な女か。


しかし…彼女を探していたのは確かだが、ムカツク物言いだ。


「………誰だ?あんた。」


「…おいコラ…仮にも上級生に何て口ききやがる…!」


「いや、まぁなんとなくあんたの学年カラーと、『一年坊』という発言から、年上じゃないかとは思いましたけどね。俺って自分の眼は信頼してるんで、あんたみたいなヤツが歳上なわけ無いなぁと。」


「…とことん失礼なヤツだな…テメェは…。」


童顔の上級生(仮)は、苦笑を浮かべながらペンを上に放り投げた。


…見た目では明らかに俺より年下か、良くて同い年にしか見えん…学年カラーが三年でなければ………ん…?


さ…んねん?


「馬鹿な…あんた三年かよ…いや、三年なんですか?」


「テメェは…最上級生とわかった途端に殊勝なヤツだな…まぁ、いいわ。」


世渡り上手と言ってくれ。


に、しても信じられない…本当にこの人が三年生だと言うのか?


「はぁ…なんでここの先輩達は無駄に僕に絡んでくるんですかね?」


相も変わらずニヤニヤしながら僕を見ている童顔の先輩に、多少の嫌味を込めて言ってみる。


「なんでって…軽く時の人じゃんよ、お前。」


「はぁ?」


「有名だぜ?美形で頭もいい…一年屈指の優等生が居るってな。」


…いつの間にそんなこと…。


「あんまり皆騒ぐもんだから一応顔でも拝んでみようと思ったんだが…正直期待ハズレだったぜ。」


「…悪かったですね…期待に添えなくて。」


「顔はラクガキだらけだし、授業はサボってるしな。ずいぶんと噂と違うじゃねぇか。」


勝手な噂で人を判断するなよ、ウザイな…って…。


「ラ…クガキ?」


頬を軽くなぞらえると、まだ乾いていないインクのマーカーが指先を黒く染める。


「………。」


「おいおい、そんな怖い顔すんなよ。書いたの俺じゃねぇんだからさ。」


正直説得力は無いに等しいが、少なからず真剣な彼の目は疑うには真っ直ぐ過ぎた。


なら一体誰………いや、聞くまでもない。


「…音楽室だって言いましたよね?」


「あん?」


「あの女ですよ。」


俺が立ち上がりながらそう言うと、先輩はやはりケラケラと笑い出した。


「やっぱり面白いな、お前。」


余計なお世話だ、この野郎。


しかし…ここの先輩達は揃いもそろって変態ばかりだ。


いたいけな新入生をからかって何が楽しいのやら…。


「…そういえば先輩の名前は?」


「俺か?瀬山(せやま) (れい)だ。なんだ?他人に興味は無いみたいな態度だったくせに…どうした?」


「いえ、万が一あの女がラクガキを書いたんじゃ無かった時の為に。一応。」


俺の言葉に軽く笑顔をひきつらせる先輩。


「…つくづく面白れぇよ…お前。」


「それはどうも。」


俺はとりあえずラクガキを洗いにトイレへと向かった。


私生活が忙しさを極め、長期間執筆不能に陥っていたことを、ここに深く御詫び致します。


来年からはこまめに投稿致しますので、どうかお付き合い下さいm(_ _)m

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