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序話 Present

Present=贈り物

紀元前…1世紀…2世紀…


時は大きく流れていく。

生き物はゆっくりと進化していく。


争いながら、守りながら。

生まれ、死に、そしてまた生まれる。


それは、神より与えられし運命である。






22世紀半ば…

人々が異能を持つことを認められ、人々が異能を持つことに大地が驚かなくなった世界。


世界人口は大きな波を描き、約65億人にまで減少した。

だが、異能・[能力質(キャパシー)]を持つ人間は世界人口の約0.05%にまで増加…――。

2000人に1人が[能力者(キャパスタ)]となった世界では、[能力質(キャパシー)]によって平和が崩れぬよう、世界中の[能力者(キャパスタ)]を統一し、世界バランスを保つための機関や、ルールまで存在する。

その存在のおかげで、[能力者(キャパスタ)]は非・能力者たちの中で、共に人としての生活を送ることができている。



だが、されど“異能”…――。

神授、もしくは親授される力は、ときとして人の心を蝕む。

[能力質(キャパシー)]を使った事件や問題の発生は[能力者(キャパスタ)]の増加と共に、増え続けていた…――





そして、日本。


一時期は約8000万人にまで減少した人口だが、現在は約1億人にまで増加した。

統計的に大きく偏っているが、この国には現在約40万人もの[能力者(キャパスタ)]が化学発展した街並みに溶け込んで生活している。

この数字は、アメリカ、フランスに次ぐ驚異的なものである。






2145年 12月25日 00時00分



メリークリスマス!



“クリスマスイブ”が“クリスマス”になった瞬間、月を覆うほどの光をはなっていたイルミネーションはより強く輝きだした。

はらはらと雪が舞う。ホワイトクリスマスだった。


深夜だというのに、この日ばかりは人通りも多い。

多くのカップルや夫婦が立ち止まり、薄く雪を被るも虹色のライトを纏い光る大きな木を囲み、愛を語っている。

聖なる者の誕生日を頭から追放し広告をくばる人や、疲れを背負いやっと足を進めて家路を歩く人もチラホラ見える。



「………」



一人、青年は美しいイルミネーションにも、はらはらと舞い落ちる白く冷たいものにも、一切興味を抱かず、いつもより人が多いことにだけ、綺麗に整った眉をひそめることで僅かに反応していた。

思考や経験、身体容姿的な見た目はともかくとして。年齢的に“青年”と記すには若いという意味でぎりぎり。そんな彼の視線はその右手にある特注のスマートフォンに奪われていた。



ほんの数十秒前


ブーブーブー……

右足の太ももに覚えのある振動を感じたのは、街の灯りが増し、周囲のざわめきがより鬱陶しくなったと感じた瞬間だった。



--------------------------

FROM:ボス

件名:ハピバ!メリーク…

--------------------------

聖真きゅん☆

ハッピーバースデー!!!

!あ~んど!めりぃぃいク

リスマーース!!\(^o^)

/♪

16歳の誕生日&クリスマ

スを一人寂しく迎えている

可哀想な聖真きゅんにメア

リーサンタからプレゼント

だお☆


(↓貼付ファイルがありま

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『ボス』と表記されるメールの主もとい、青年が所属する機関の唯一上司もとい、メアリーサンタから送られてきたおちゃらけたメール内容をみて、ろくに目も通さず右ポケットにスマートフォンをしまう。

なにやら画像ファイルが貼り付けてあったようだが、気づかないふりをする。



「………」



〝セーマは無愛想だよね〟と、よく昔のパートナーにも言われていたことを思い出す。彼は、無愛想とは少し違う。ただ単に、〝面倒くさいことが大嫌い〟なのだ。無愛想といわれたことに対して、面倒くさい、と大した訂正もしていないので、元・パートナーにとっての青年は無愛想のままだろう。

そして、本人称“メアリーサンタ”からのメールは、残念なことに、面倒くさい予感しかしない。



ブーブー、ブーブー、……



再び右ポケットが細かく揺れる。とたんに青年の眉間はさらに狭くなった。

その振動の長さから、今度は電話だ。


小さく濃い息を吐いた青年は、再び右ポケットからスマートフォンをとりだした。



「はi〈聖真コノヤロー!!!無視しようとしてんじゃねぇよ!!!〉…」



スマートフォンをあてた瞬間耳を荒らす、上司の声。

男である自分よりもよっぽど男らしい口調と怒声は、耐性がなければ飛び上がるほど迫力がある。

メアリーサンタはいったいどこへいったのか。



「…今返信をうっていたところだ」

〈嘘つくんじゃねぇ〉

「……」



なぜばれた。

なんてことを思うには今さらすぎる。


面倒くさがりの青年は、メールなんてほとんど必要最小限。

例えば、〝メリークリスマス!〟とか、〝お誕生日おめでとう〟とか、〝今年もよろしく〟とか。

そんなメールを友人に送る、いまどきの若者の“当然”なぞ、この青年がするはずもないのだ。

もちろん、そんなメールが届いても返信なんてするわけがない。それも、青年の中の面倒事を引き起こす大元といってもいい上司に。


日頃の行い、とはこのことである。

そもそも、そうでなくても、目ざとく人の裏を読む彼女に隠し事をしようなど、不可能なのだ。



〈写真見たよな?〉 

「…見てない」

〈そろそろ怒るぞ~聖真く~ん〉



もう怒ってんじゃねぇか。


そんな思考を口に出すほど、青年はおろかではなかった。

そして、このまま白を切り通せると思うほどでもない。



「…なんだよアレ」



青年が“聖真きゅん☆”で始まるおちゃらけた文章の先に見たのは、一枚の写真だった。



〈可愛いだろ?〉

「……」



求めている答えとは大分違う言葉が返ってくる。

青年は否定も肯定もしない。

否定をすれば、〝あたしが可愛いっつんてんだから可愛いんだよ!〟と呷られ。肯定をすれば〝なんだなんだ!?あまりの可愛さに惚れちま(略)〟と、間違った方向で喜ばせるだけである。

どちらをしても、面倒なことになると知っているからだ。



「で、…今度はなんだよ」



青年は本題を促す。

このメールがただ自分とキリストの誕生日を祝うだけのものではないことはわかっているのだ。


青年の問いかけに、声色が変わる。

相変わらず愉快そうに。でももっと低く。




〈ターゲットだ〉




彼女の一変した声色にも、聖真は表情を変えない。


薄々、感づいてはいた。




自分が、単独で日本に送り返された理由。




〈聖真、喜べ。…お前にとっておきの、特別任務(プレゼント)をやる〉





クリスマス。



聖なる夜に、世界最強と唄われる青年の新たな任務が始まる。


そしてそれは青年の人生を揺るがす、運命の物語の序章であり、それを知る者は誰もいない。






…いや、ここにただ一人。


Ha(くくっ)...Happy(ハッピー)Birthday(バースデー) and,(そんで)...Merry(メリー)Christmas(クリスマス)...Seima(セイマ)


サンタは、怪しく、妖艶に笑う。


読んでいただきありがとうございます。

どうもはじめまして、そしてメリークリスマス。


序話なので少し短いです。

まだプロットが終わっていないんですが、クリスマス、どうしても更新したかったので…。


「ん?wwなんか変じゃねwww」と思った方や、誤字脱字を発見した方はぜひ、教えてくださると助かります。

こっそり直します。


サイト『Lapis Lazuri』http://m-pe.tv/u/?3ak2t

もよろしくお願いします。





作者は雑食で腐った厨二病の中毒者です。

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