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第二章 ギルド

 夕方になって、ボクたちはマスターの店に向かった。

「マスター、ギルド加入希望ってのはどいつだ?」

 店に入るなり、ボクの隣に居る少女が言った。

 がさつな台詞に似合わず、小柄で細い身体に腰まである長い黒髪を一つに束ねている。

「ようメリア、マサ。あいつらは奥にある客室で待ってるよ」

「あいつら?」

「いい所に気がついたな、マサ。希望者は一人じゃないのさ」

PT(パーティー)って事?」

「それがなーってメリア、話しの途中でマサを連れてくな」

「あんたの話しなんか聞きたくないんだよ!」

 メリアに引っ張られ、話しが途中で終わってしまう。

 でも、ボクよりも力のあるメリアの手から逃れる事は出来ない。


 住居と武具店を分ける扉をくぐると、そこにあるリビングには二人の(アバター)が居た。

 一人は、長身でボロボロの服を羽織った男。

 もう一人はボクより少し小さく、ロングスカートを履いている少女だ。

「ギルド加入希望者ってのはお前たちか?」

 メリアが口火を切った。

「ああ、オレたちがそうだ」

 長身の男が答え、隣に座っていた少女も頷く。

「え〜っと、自己紹介から始めて良いかな」

 ボクが口火を切って、自己紹介が始まった。

「オレはローグ。職業は吸血鬼(ドラキュラ)、こいつとはこのゲームを始めた頃からPTを組んでいる」

「あたしはメリア。職業は双拳銃(ツーハンド)、このギルドのリーダーだ」

「私はベネット。職業は修道女(シスター)

「最後だね、ボクはマサ。勇者志望の剣士(ソルジャー)、宜しくね」

 肉弾戦闘員が二人、中距離戦闘員が一人、遠距離戦闘員が一人か

 なかなか良いバランスのギルドになりそうだな

 ボクがそう思っていると、メリアが急に立ち上がった。

「それじゃ加入試験として、チームバトルをするぞ」

 ボクが驚いていると、メリアが扉から出て行き、それにローグとベネットがついて行く。

「皆待ってよーっ」

 僕も急いで店を出ると、広場にある転送装置(ワープゲート)から闘技場を選択した。

 街の中で、他のプレイヤーに攻撃する事が禁じられているからだ。

 身体が青い光に包まれて、一瞬の浮遊感の後に目的地に着く。


 闘技場には、メリアとローグ、ベネットが向き合って立っている。

「マサ、遅い。待ちくたびれる所だったぞ」

 メリアの言葉に反論しようと思ったけど、ローグも頷いているのを見て止めた。

「それじゃ良いか? 相手のPTを倒した方の勝ちだ」

 メリアはそう言うと、徐にポケットからコインを取り出し—―弾いた。

 コインが地面に落ちるのが、戦闘開始の合図である。


 キィン


 コインが落ち、音が鳴った瞬間、ボクは剣を鞘から抜いて正面に構えた。

「———」

 ベネットが詠唱を始めると同時に、ローグがナイフを投げてくる。

 後ろのメリアを庇いながらナイフを弾き落していると、不意にローグの姿が消えた。

「マサ、前に跳べ」

 メリアの声に反応して前に跳ぶと、さっきまでボクが居た所には斧が刺さっていた。

「メリア、ローグは任せたよ」

 ボクはメリアにそう言うと、返事を待たずにベネットめがけて走り出した。

「ベネット、ごめん」

 剣を振り下ろした瞬間、ベネットは手をボクに向けて突き出した。

 その後は一瞬の出来事だった。

 ボクの視界を白に染めたかと思うと———ボクは倒れていた。

 どうやらベネットの魔法によって吹き飛ばされたらしい。

 今のがどんな魔法か知らないけど、試験は合格なんじゃないかな?

 心強い仲間が増えてよかった


 意識が闇に包まれていくのを感じながら、ボクはそう思った。

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