復活のスチャラカOL(八百文字お題小説)
沢木先生のお題に基づくお話です。
「くもり止め」「違和感」「空気感」をお借りしました。
律子はスチャラカなOLだ。
今日は彼の藤崎君とデートだが、生憎の雨で車のフロントガラスと座席横のウィンドウが曇ってしまう。
「くもり止めないの?」
助手席の律子が言った。
「買い置きがないから、そこで買おうか」
藤崎君は国道沿いに某カー用品店の看板を見つけて言う。
二人の乗る車は店の駐車場に入った。
律子は店の中から傘を開きながら平井課長が出て来るのを見た。
(休みの日にまで会いたくないぞ)
律子はやり過ごそうとしたが、
「おはようございます、課長」
すでに傘を差した藤崎君が車を降りて挨拶していた。
項垂れる律子である。
「おはよう。いつも仲がいいな」
平井課長はニヤリとして言った。
「パパ」
そこへ太腿剥き出しのミニスカートを履いてタンクトップを着たロングヘアの美人がやって来た。
バッチリメイクで派手な顔だ。
律子と藤崎君は顔を見合わせた。
「まずいところに来ちゃったのかな?」
「そうみたいだね」
二人がこそこそ話しているので、課長が、
「どうしたのかね、二人共?」
「どうもお邪魔様でした、課長。私達、誰にも喋りませんから」
律子はオホホと笑いながら車に戻る。
「課長、この辺は会社の人がよく来ますから、気をつけてくださいね」
藤崎君はチラッと美人を見て言い、車に戻って行った。
「何の事だろう?」
課長はそばに来た美人を見た。
「さあ。休日にパパと会ったのでバツが悪いんじゃない?」
美人は課長の車の助手席に乗り込む。
「こっちだって、休みの日に律子君に会ったりして験が悪いよ」
課長はムッとしながら運転席に乗り込んだ。
「早く戻らないとまたママが怒るわよ、パパ」
「わかってるよ、めぐみ。それよりお前、大学にちゃんと行ってるのか?」
課長は車をスタートさせて尋ねた。
「行ってるわよ。私はパパみたいに万年課長で終わる人と結婚したくないから、頑張って国家公務員になるの」
「そうか」
きつい事を言われながらも愛娘のめぐみと買い物ができて嬉しい平井課長である。
はいはい、お粗末ですね。