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六十一、琥珀の効果

数日後。

キサラはシノとともに墨家に呼ばれていた。

ナツヒが思い出した墨家の屋敷裏にある古井戸。

その調査に呼ばれたのだった。


「あの……し、師匠……本当に私が来ても……?」

「マサ様に呼ばれているからね……」


マサには「たまにはおいしいお茶を飲みたいから」とシノを連れてくるように言われた。

ブルブルと(ふる)えるシノに、キサラは少し同情した。

今はナツヒやマサと関わりがあるからこそ、キサラは(へい)(おん)な気持ちでいるだけなのだから。


「やぁ、待ってたよぉ!」

「こここここんにちは‼マサ様‼」


甚平を着たマサが、奥から出てきて軽く手を上げる。

キサラは軽く頭を下げる。

それよりもシノが深く頭を下げて、お皿の水がこぼれる。


「シノ!頭!」

「あわわわわ!」


キサラは手持ちの水をお皿に垂らす。

シノは顔を赤くしながら、おとなしく頭をあげる。


「ははは、さすが河童。なかなか面白いじゃないか」


マサが笑う。


「マサ‼」

「ああ、ナツヒ、遅いじゃないか。キサラが来てるよ」

「何も言わずに歩き出したのは誰だ‼」

「僕だねぇ」


マサの後ろから現れたナツヒはキサラをちらりと見て、目を見開く。


「驚いた」

「ナツヒ様?」

「いや………それをつけてくれていて嬉しいと思っただけだ」


それ、というのは、ナツヒがくれた首飾りのことだろう。

妖気を(おさ)えるという効果がある琥珀の首飾り。

ただ、今は服の下につけているはずなのに。


「え、なんでわかったんですか……?」

「気配が変わった」

「やっぱり。僕もなんか違うんだと思ったんだよなぁ」


マサがそう言って笑う。

そんなに効果があるのか。

キサラは服の下にある琥珀の存在を確かめる。


「くくくく紅の角ありさま……」


はっと我に返り、頭を下げようとするシノを慌てて止める。

それを見て、マサが笑った。


「さて、シノちゃんのお皿がひっくり返るまえに、問題の場所にいきましょうか」

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