表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/86

六、のみ薬以外の治療

昼頃。

キサラは、ナツヒの部屋の前にいた。

そこに、大量の荷物を持ってきた鬼と共に現れた坂城と合流する。


「円弧先生、ご指定のものです」

「ありがとうございます」


人間と違い、体力仕事が得意な妖怪達は、大量の荷物を持っても顔色は変わらない。

キサラはナツヒの部屋を(たた)いてから、中に入った。


「ナツヒ様。失礼します」

「ああ」


扉を開けると、ナツヒの赤い瞳が暗い部屋で光った。

こちらを見ている。


「朝に伝えておりました荷物を部屋に置かせていただきます」

「……ああ」


(ちん)(もく)後に同意。

少なくとも(きょ)()はないようだ。

坂城が(ふく)(すう)の鬼達と共に部屋に入ってくる。


「……なんだ坂城もいるのか」

「ナツヒ様、少し顔色がよくなったように思います」

「…キサラのおかげだ」


ナツヒと坂城の会話が背後で聞こえるが、キサラは作業が短時間で終わるように手早く指示をした。

キサラの指示通りに鬼たちは荷物を置いていく。


「……で、この植物はなんなんだ」


鬼たちが全ての荷物を置いて出てから、ナツヒがキサラに(たず)ねてきた。

坂城も気になるようにキサラを見ている。

暗い部屋の中のところどころに置かれているのは(はち)植えの植物。


「俺が火を(あやつ)る鬼なのを忘れてないか?」


()やすぞ?とでも言うように笑う。

キサラはにこり、と笑顔を浮かべた。


「今は火は思うように使えないはずですよ、ナツヒ様。それにこの植物は治療の一つです」

「ほう」

「これらは、部屋の湿(しつ)()を調整する効果があります」

「それが俺の病気と何の関係が?」

「ナツヒ様の病気は体の中に水が()まる病気と考えられます。この部屋の湿度を調整し、ナツヒ様の体から水を出します」

「では、あの薬は?」


坂城が言うのは、昨日キサラが調合した薬のことだろう。


「あの薬はナツヒ様の体の水を調節する作用があります。効果が早ければ数日後にはわかるでしょう」

「なるほど」


坂城が()(もと)()(へん)を取り出し、メモをとる。

勉強熱心だ、とキサラは感心してみていると、視線を感じる。


「ナツヒ様?」


こちらをじっとした目でナツヒがみていた。


「…キサラ、そいつは結婚してるぞ」

「だからなんです?」

「俺がいるだろ」

「わけがわかりません」

「君は俺と結婚するんだからな」

「ナ、ナツヒ様⁈⁈⁈」


キサラが否定するより早く、坂城が叫んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ