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二十九、変わらないナツヒ

「ああ。いい気分だ」

「そうですね」


疲労で倒れたナツヒは一日で回復し、翌日から体力を戻すために、散歩を始めることにした。

ナツヒの希望により、キサラはそれに付き合っている。


「担当医が一緒に歩いてくれて、体力回復がはかどる」

「そうですか」


屋敷でキサラの(しょう)(さい)を知るのはナツヒだけ。

ナツヒはキサラのことを知っても、同じように接してくれる。

妖怪にしかわからない感覚の話をされたらどうしようと思っていたが、変わらず人間として対応してくれる。


「キサラ、このまま結婚しないか?」

「そうでしょうか?」

「なんでだよ」


ナツヒの言葉も変わらない。

「そのままそうですかと言ってくれるかと思ったのに」と、ずいぶんと元気になったナツヒがふてくされる。


「ナツヒ様。(じょう)(だん)はほどほどに」

「冗談じゃないのになぁ」


昼寝は必要だが、歩く距離も(じょ)(じょ)に伸びた。

食事の量も増えた。


「そうだ。おいしいかりんとうが手にはいった。水ようかんも手に入ったらしい。今度お茶会をしよう」

「そうですね」

「結婚しよう」

「面白くない冗談ですね」


ナツヒの調子はよくなっていった。

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