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二十二、キサラへの興味

「ナツヒ様」

「……ああ」


気がつけば、寝ていたらしい。

部屋の扉が開く音で意識が浮上し、声をかけられて目を開ける。

(なつ)かしい、夕日よりも印象的な()(はく)(いろ)の瞳が脳裏から離れない。


「寝ていらっしゃったのですか」

「ああ……」


キサラの薬で体調はよいと言っても、体力はまだ完全に戻っていない。

昼寝があった方が楽だった。

特に、外出をしたことで体力が落ちていることを自覚した。


「……というか坂城は毎回来なくてもいい」


起き上がって見た姿に、ナツヒはむくれた。

今日はキサラがいない日。


「俺はキサラに毎回来いと行った」

「円弧先生がお出かけのときは、私が(だい)()ですので」

「キサラがいない日でもちゃんと飲む」

「これは円弧先生からのお願いです。ナツヒ様は(ぜん)()がありますので、と言われていました」

「……」


あの夢の(えい)(きょう)か、琥珀色の瞳を光らせて(にら)んでくるキサラの姿がナツヒの脳裏に浮かぶ。


「……はぁ」


(しぶ)(しぶ)坂城から薬を受け取り、彼の前で薬を飲む。

いつまでもその薬は苦く感じるが、キサラが作ったものと思えば、心地のいい苦みだ。


「坂城」

「なんでしょう」


空になった薬袋や水入れを片付ける坂城に、ナツヒは問いかけた。

もう眠くない。

あの琥珀色の瞳に早く会いたい。


「キサラは………大学校でも仕事しているのか?」

「そのようです。研究室の仕事を手伝っているとか」

「あいつの専門はなんだ?」

「『古代医学』と聞いています」


聞いたことがない分野だ。


「それは医者の分野なのか?」

「円弧先生のご専門です。もちろん、私のような(ひょう)(じゅん)(てき)()()()(しき)はお持ちですが、古文(こもん)(じょ)を読み解き、この国ができるよりも昔に使われていた医学を現在に生かす学問のようです。今回のナツヒ様もその方法で治療されています」

「そうなると、標準治療ってのが問題じゃないのか?」


ナツヒは前に来た大学校の医者を思い出した。

大学校 鬼科のエリートだとやってきた鼻につく、(たい)()が気に入らない人間。

ナツヒの体調は悪かったが、その態度でさらに気分が悪くなった記憶がある。


「医者にも得意不得意があります。今回は円弧先生の得意分野だったのでしょう」

「……あいつは」


ごろん、と寝台に寝転がる。


「医学以外に、何が好きなんだろうな」

「ナツヒ様……!」


急に坂城が声をあげるので、驚いて起き上がる。

坂城が目をまん丸に見開いて、ナツヒを見ていた。


「どうしたんだ」

「ナツヒ様が、円弧先生を知ろうとしている………」


そう言えば、誰かの好みに興味を持ったのはいつぶりだろうか。

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